日常記録3【爆豪勝己】 (ページ21)

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偶然ページ21

偶然と偶然が重なることってわりとある

貴「えっまさか爆豪くん？」

爆「………なんでいンだよ」

貴「ちょうど出張でこっちに来てたの

わ、まさか会えるなんて思ってなかった

ここ、この前瀬呂くんに教えてもらったの」

出張中の任務でチームアップをした瀬呂くんが、お洒落で一般のお客さんが来ないというオススメのバーを教えてくれた

そう言えば、高校時代から爆豪くんたち仲良かったな

貴「隣、いい？」

何も言わず頷いた爆豪くんを見てカウンターの隣の席へ座り、カクテルを頼む

偶然足を運んだお店に偶然爆豪くんがいるなんて今日はついてる

卒業後、遠方の事務所配属になった私はみんなと会える機会が殆どなかった

だから少しテンションが上がって話しすぎたかもしれない

他愛もない私の話に爆豪くんは付き合ってくれた

爆「お前、酒強ぇンか」

貴「んーあんまり強くないかも」

爆「やめとけ」

もう一度お酒に口を付けようとすると爆豪くんの手が伸びてきて、私のグラスを奪い取った

貴「だって、久々に爆豪くんに会えて嬉しくって」

ちぇー、と口を尖らせてグラスを目で追いかけると爆豪くんの視線とぶつかる

さっきからそうだけど、爆豪くんは昔と比べ物にならないくらい優しい表情をするようになった

もちろん大人になったのもあるかもだけど、横顔も、今私を真っ直ぐ見るその瞳も、息を飲むほどドキッとしてしまう

爆「ンなに嬉しーかよ」

貴「うん、嬉しい」

私を捉えた赤い眼を見て微笑むと、ほんの少しそれが揺らいだ気がする

貴「爆豪くん、大人っぽくなったね

昔と顔つきが全然違ってドキドキしちゃうじゃん」

小皿にのったピーナツに指先が触れてコロンと転がる

そんな私の手首を掴んで、引かれるから彼の肩とぶつかった