幼女と奇譚の中盤戦

その21 ページ22

こん「この本丸のゲートを利用しましょう！安全なルートを割り出したので皆様、先に行ってください！！」

こんのすけは陸奥守に通信機器を渡す。陸奥守はそれを受け取り、皆を案内する。去り際に陸奥守はこんのすけに言う。

陸奥「こんのすけ、絶対に出口にくるき！」

こん「………はい。」

陸奥守は皆を連れて、本丸の出口へと向かう。こんのすけはこの時、始めてうそをついた。本当は一緒に逃げたかった。もう少し、あの少女やその本丸で過ごしたかった。

こん「おっと、そんなことを思い返している暇はないですな。」

こんのすけは通信機器から陸奥守達へ安全なルートを導いて、本丸の出口へナビゲートした。

陸奥「ここじゃな！？こんのすけ！着いたき！」

こん「了解です！いま、ゲートを開きます！！開いたらゲートの中に飛び込んでください！！」

こんのすけはカチカチと操作をすると本丸の出口のゲートが開く。

膝丸「開いたぞ！！」

陸奥「よし！はよ、中に入るき！！」

新選組を始め、青江達が次々とゲートの中へ入る。陸奥守と小夜、審神者、源氏兄弟が残る。

陸奥「わしは最後に入るき、主と源氏兄弟、小夜。先に入るぜよ！」

小夜「…わかった。」

膝丸「小夜は俺が抱えよう。」

髭切「なら、主は僕と行こう。」

膝丸は負傷している小夜を抱え、先にゲートの中に入る。髭切はもう一度、審神者を抱っこし直してゲートに入ろうとする。

髭切「さぁ、行くよ？主。」

A『待って…』

髭切「？？」

A『こんちゃんは？……』

髭切「………。」

A『これに入ったら、こんちゃん……脱出できない。』

陸奥「……っ！」

実は、陸奥守にはわかっていた。このゲートに入り助かったとしてもこのゲートを閉じない限り時空の歪みは浸食する。そして、そのゲートを閉じるのは外側にいる人…つまり、ここに残るこんのすけだ。

こん「………主様。わたくしは貴方に仕えて幸せでした。油揚げを貰う時の幸せとは比べものにならないくらい。わたくし、こんのすけは幸せでした。」

陸奥守の通信機器からこんのすけの声が聞こえてきた。陸奥守は俯いたまま通信機器から目を離さない。髭切は険しい顔をしながら、審神者をしっかりと抱える。

こん「始めは、主様と小夜様、陸奥守様だけで不安がありましたが、今となってはこんなに成長なされ、本丸が発展しました。わたくしは喜ばしい限りです。しかし…これ以上はもう、主様の成長は見られそうにもありません。」

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