【３】路地裏から拾いまして【浦.島.坂田.船】 (ページ27)

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さ「A！早く早く！」

『そんなに急がなくても、祭りは逃げませんよ』

待ちに待った初夏祭り。
梅雨も終わり、雨の心配もなく、ガヤガヤと周りは楽しそうで騒がしい。

う「露店、沢山あるな」

『そうですね。
あぁ、夕食は祭りで済ませましょうか』

さ「何から食べよーかな」

４人は珍しいものを見る目で、キョロキョロと道を進んで行く。楽しそうでなにより

そしてそのまま歩いていると、後ろから左手をぎゅっと握られた。

『志麻さん、どうかしましたか？』

し「はぐれないように」

『ふふっ、そんなに私、危なっかしいですかね？』

し「俺から見たらそう見える」

『それは困りましたねぇ』

かなり、ちゃんとしてる様にしてるんだけどなぁ。やっぱりまだまだかな

し「A、なにあれ」

『？』

志麻さんが見ている方向を見てみると、他の３人があるものを見つめていた。それは…

『あぁ、提灯ですね』

う「提灯？」

『蝋燭で火を灯し、光源とするものです。
最近は電気を光源とするものもありますけどね』

さ「へぇーっ！A、物知り！」

そんな事ないですよー。
坂田さんは私に抱きつき、髪を崩さない程度に撫でて、すぐにぱっと居なくなった。

し「……」

『志麻さん、手痛いです。もうちょっと緩く』

し「…坂田やなくて、俺と話してや」

『ぇ？』

志麻さんは口をへの字にし、ぷいっと逆の方を向いた。…拗ねた？

『…志麻さん』

し「…なに」

『他の３人、行っちゃいましたよ？
私たちも行きましょうか』

し「…はぁーっ、はいはい。行きますぅー」

あ、機嫌治った。
移動する前に提灯をもう一度見、他の３人の元へ志麻さんと向かう。

「…A、顔あっか」