光り輝く蝶 6 (ページ22)

今日:200 hit、昨日:264 hit、合計:222,979 hit

俺の月明かりページ22

JH side

仕事終わり、送迎車に乗り宿舎に帰る途中ふと窓の外を見ると綺麗な月が見えて、思わずスマホを構えシャッターを押した。

その瞬間、Aが活動休止をしていた時期を思い出して胸が締め付けられる感覚がした。

あの頃、少しの間Aは入院をしていて、宿舎を暫く空けていたから連絡を取り合う事しか出来なかったんだけど、病気の症状で手が震えて上手く文字を打てなかったから電話で話す事が多かったんだ。

その日の夜も今日みたいに凄く月が綺麗で、無意識にAに電話をかけていた。

｢もしもし？ユノ？｣
JH ｢……体調はどう？｣
｢凄く良いよ。薬も効いてきてるしリハビリも頑張ってるよ｣

電話越しでもAが嬉しそうに笑っているのが伝わって、俺も一安心。

JH ｢今日凄く月が綺麗だよ。写真送ったから見て｣
｢わぁ、ほんとだ。凄く綺麗……｣

少しの沈黙の後、Aがこう言ったんだ。

｢ユノと一緒に見れたらもっと綺麗だっただろうな｣

その瞬間、時間が止まったような感覚がして、今までのAとの思い出を鮮明に思い出したり、この気持ちが愛なんだろうなと思ったりもした。

JH ｢Aと会えなくなってから月を見るのが日課になってる｣
｢へぇ、珍しいね？｣
JH ｢月をAだと思うと気持ちが楽になるんだ。毎晩こうして俺の事を照らしてくれるから、離れていても心が丈夫になる｣
｢ふふ、私が月かぁ……そうだったらお昼も顔出してるだろうね…｣

その事を思い出していると、どうしてもAに早く会いたくなって、宿舎に着くや否や真っ先にAの部屋へ向かった。

ドアを開けるとAがベッドでぐっすり眠っているのが見えて、胸を撫で下ろした。

シャワーを浴びてから、自分の部屋ではなくAの部屋に入り、熟睡しているAが居るベッドに潜り込んだ。

JH ｢おやすみ、俺の月明かり｣

Aを深く抱きしめると、寝ているのに俺の方に体を向き直すから愛おしさが溢れて困った。

起きたら俺が居てびっくりするんだろうな。

そんな事を考えながら俺も夢の中へと足を踏み入れた。

.