244話 変わった人 ページ7
『ガヤガヤ』『ザワザワ』
マ「…お前ら…まーた一段と仲良くなってないかよい…」
エ「俺たちの愛は留まることを知らねぇんだな。ほらヘルメス、あーん。」
貴「あー…」
エ「あーっ幸せだー！」
自分が食べたのを確認すると毎回笑顔になる。楽しそうでいいデスネー。
マ「見てて胸焼けがするよい。」
貴「食べる他ないからっすよ…」
大きなスプーンに盛られたカレーを口を開けるまで押し付けられる。自分本読んでるんだけどな…てか朝食からカレーはきついよ。
予定では月出の刻にこの船は辿り着くらしい。
マ「そいつァ確か普通のファンタジーだろい？まぁあまり出回っていないとはいえ、こんな非常時に読むものか…」
今自分が読んでるのはマルコさんから借りた本だ。
貴「これ、兄さんのなんですよ…」
マ「へぇ！」
エ「ヘルメス、兄貴いたのか!?」
貴「一応…」
ページをめくる。
マ「感傷にでも浸ってるのかよい？」
おちょくるように聞く。
…おそらく、この戦いが終わっても自分は旅人であり続ける(最近は海賊のお世話になっているけど)
しかし今だけ、自分は、旅人とは他のモノになる。
そしてまた元の自分に戻れるように。自分の目指した自分というのを脳裏に焼き付けておくんだ。
貴「や…特別面白いわけじゃないんで…よく忘れるだけです…」
だから旅中この本を見つけたとしたら必ず読む。
いつか兄さんの言っていた言葉を思い出した。
「この主人公はな、お前のために作ったんだ。」
それに対して自分は何と言っただろうか。
「…うわ構成ぐちゃぐちゃ…設定雑すぎ…」
「ははっ、辛辣だなあ」
「…で、も、好きだよコレ。ありがと…」
この時初めて自分の口から感謝を示す言葉が出た気がする。その後髪がくしゃくしゃになるまで撫でられた気がする。
兄「＿俺を殺しに来い…ヘルメス…」
再会した時の冷徹な笑顔が瞼の裏から消えない。あの優しい人はどこに行ってしまったのだろうか。
貴「…」
席を立つ。
エ「お、もういらねえの。」
貴「うん…寝る…」
マ「今起きたばかりだろうよい…」
貴「飯食べたら眠くなる…」
エ「それはわかる。」
マ「お前は食べてる時に眠くなる、だよい…」
エ「ははは、そんな奴いる訳ねえだろうが。」
マ「どっこい、これがいるもんだよい。」
エ「俺は眠ってるんじゃ無い。目を閉じて味わってるだけだ！」
マ「どーだか。」
エ「その顔は馬鹿にしてんな！」
言い合う二人を尻目に、その場を去った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 67人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふいと - この作品大好きです (2019年5月6日 13時) (
レス) id: ec73fc1a8a (このIDを非表示/違反報告)
いちごミルク(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (2018年9月8日 23時) (レス) id: 74107eb362 (このIDを非表示/違反報告)
たけつき。(プロフ) - 森田菜々子さん» ごめんなさい小説製作は受け付けてないんです…自分で考えたやつじゃないと想像力が働かないところがあるので…本当に申し訳ございません。他の作者様方へお願いします。自分にリクエストしていただけたのは嬉しかったです。 (2018年9月5日 22時) (レス) id: d2d8bef1b4 (このIDを非表示/違反報告)
森田菜々子 - お願いあるんだけどいいですかな？ワンピース×メイ・チャンの恋愛短編集でお願いします。メイ・チャンは長男のグリードと次男のエンヴィーの妹を設定で (2018年9月2日 10時) (レス) id: e772f145ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：脱兎狼 | 作成日時：2018年4月8日 15時
