【ONE PIECE】無気力系旅人の奮闘第5弾 (ページ17)

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204話黄泉の国からページ17

「そして最後の目玉商品。皆様ご存知のヴァンダー殿による人間兵器！」

会場が一気に沸くのが空気で感じる。さて、どんな化物が出てくるかな…

ステージ上のカーテンの裏から足が見え、腕が見え、そして、顔が晒される。

その、見覚えのある顔が。

貴「…兄さ…ん…？」

隣のカクさん、ドフラミンゴさんにも自分にも誰にも聞こえない声。

ロボットのようにどこかぎこちない動きをしているが紛れもなく、間違えようが無く、自分の実の兄の姿だった。
でも彼は死んだはず。目の前で、殺されたはず。あの父親のせいで。天竜人と呼ばれるただの肉塊の手によって。死んだはずなのだ。

そして思い出す。自分自身を。この化物を。

兄さんまで、化物(いっしょ)になってしまった。

貴「いやだ。こんなの。やだ…」

また誰にも聞こえない声が息と共に出てくる。

前を向いて、認めたくない現実を確認する。そして目が合う。見つめられる。一瞬が長い。

兄「…や・あ・か・えっ・て・き・た・よ」

口が動いただけだが伝わる。前と変わらない笑顔で微笑まれるから。

貴「ヒュッ、」

どうやら、自分は息の仕方を忘れてしまったようだ。

しかし目を逸らせず、父さんがマイクを持つのが見える。

父「こちらはサンプルで、この設計図を落札者には売ろうと思います。今なら僕の手作りお菓子も付いてるよ！」

兄「とても食えたものじゃありませんがね。」

父「失礼な！すこーし青酸カリ混ぜただけだよ。あとトリカブト。ま、このように対毒性の性質も持ち、戦闘力は今のところだけど軍艦三隻分。」

ざわめきが広がる。感心や恐れ、その他もろもろ。

カ「ふむ…それは世に流れると恐れ多いの。」

ド「フッフッフ、やっぱえげつねェの出してきやがったなぁ。」

少し落ち着いてきた。大丈夫だ。何事もないように声をだす。

貴「…えぇ。本当に。」

勝てるかなぁ…この化物たちに。