返事 ページ16
道枝駿佑side
学校から帰宅すると家中騒然としていて、よくわからないけど大橋くんがかなり大変なことになっているらしい。
｢みっちー、これ大橋くんの脇と首に当てるんやって…俺もっといっぱい作ってくから先届けてあげて｣
流星くんに氷の入った袋を3つ渡される。
｢…うん｣
状況がいまいち掴めない。痙攣を起こしているから救急車を呼んでいる、と端的にそれだけ話された。
｢…大橋くん大丈夫？｣
部屋のドアを開けると思っていたより重態なのだと気づく。
全身が震えて苦しそうに呼吸を繰り返す大橋くんを目の当たりにする。
｢ヒューッ…ぅっ…ヒュッ…ぁ…っ…うっ｣
｢…、…お、大橋くん｣
声をかけても、たぶん届いていない。
ショッキングな現状に、氷袋を床に落として、尻もちをついてしまう。
｢…っ……ぅっ…ぐっ…ぇっうぇっ、うっ｣
｢…っ｣
この氷、どうするんだっけ。
たった今流星くんから受けた指示が思い出せなくて体が動かなくなる。
初めて見るこんな苦しそうな大橋くんの姿に、まだ信じられなくて目に涙がたまってどんどん溢れていった。
｢げほっげほっごほっうっ…うぇっぇっ…えほっ｣
｢…あ、…あぁ｣
涙で視界が遮られて、もうよくわからない。
大橋くんの嘔吐くような声に、逃げるように耳を塞いでしまう。
｢……っかはっ………｣
不自然なほど静かになった部屋に自分の心臓の音がうるさいぐらいバクバク聞こえる。
｢…おおはしくん、…っ、｣
｢……………｣
｢おおはしくんっ｣
呼んでも呼んでも返事はこない。
お願いだから、いつものように笑いながら返事をしてよ、大橋くん。
｢ぐすっ大橋くんっ大橋くん…｣
｢みっちー｣
｢…っ…じょ、くん？｣
返ってきたのは、俺を呼ぶ丈くんの声だった。
パニックで泣き続ける俺の背中をただ優しくさすってくれた。
｢ごめんな、しんどかったやろ｣
｢…ちがう、俺じゃなくて大橋くんが、｣
｢大丈夫、大丈夫やから、流星とリビングにいてくれる？｣
｢…っ、…うん｣
流星くんに支えられて、階段を下りる。
遠くの方から救急車のサイレンが聞こえてきた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 177人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆみ - いつもお話し楽しく読ませていただいてます。続編3にパスワード保護がかかっているのですが、そちらのお話もとても読みたいのでパスワードを教えてもらうことは可能でしょうか？ご検討よろしくお願いします。 (9月18日 10時) (
レス) id: e03a8ccf64 (このIDを非表示/違反報告)
ちらん(プロフ) - くろさん» 準備が整い次第、全体公開致しますので今しばらくお待ちください…！記載しておけばよかったです申し訳ないです(＞＜) (9月11日 5時) (レス) @page47 id: 833f0882ae (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - 続編の3について、パスワードを教えていただくことは可能ですか？？ (9月11日 5時) (レス) @page47 id: 548a30f309 (このIDを非表示/違反報告)
yuujun21(プロフ) - ちらんさん» ありがとうございますm(_ _)mお話のストックがたくさんあるとの事なのでそちら優先でも全然大丈夫です(*´ω｀*)更新楽しみにしてます♪ (9月6日 8時) (レス) id: f5e33b72b7 (このIDを非表示/違反報告)
ちらん(プロフ) - yuiyuikankanさん» リクエストありがとうございます！順番にお書き致しますのでしばらくお待ちください…！ (9月5日 20時) (レス) id: 833f0882ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちらん | 作成日時：2023年7月28日 23時
