八つ当たり ページ1
大橋和也side
言い訳じゃないけど、その日はちょっとだけ疲れてた。
発作続きの毎日で、薬の量も酸素吸入の回数も増える一方。服薬の時間も相まって自分のペースでご飯も食べられないし、なにより病院からの検査帰りだった。
だから少しだけ、ほんの少しだけ休みたくてリビングで酸素吸入を手伝ってくれようとした大ちゃんに、わがまま言って困らせた。
｢はっすん、やらなあかんやん｣
｢いやや｣
｢サボったらサボっただけ苦しくなんねんから｣
｢今日はもう疲れた｣
｢それは、まぁそうなんやろうけど、今こうしてるうちにでもやってたらもう終わってんで｣
｢喉変になるもん｣
｢はっすん｣
強くなった口調に気まずくなって目を逸らす。
だって本当に嫌だった。酸素吸入を初めたら10分くらいは動けないから暇だし。
｢大橋、そろそろしつこいで｣
そのうち、横で一連の流れを見ていた丈くんからも責められる。
｢…じょうくんには関係ないやん｣
｢なに？なんか言った？｣
｢言ってない｣
｢はっすん、疲れてんのはわかるけど、やらなどうしようもないやん｣
｢…だって｣
｢あんたいつまでそんな子どもみたいに駄々こねんの？もういい加減やるべきことは自分からしい｣
いつものお説教のような言葉に、それでも今日は動けなかった。
なんでわかってくれないんだろう。
なんで俺ばっかり、こんな面倒なことしなくちゃいけないの。
｢大ちゃんはやらんでええもんな。毎日毎日、自分はやらんからって俺にそうやって！…っごほっげほっ｣
｢…なにそれ｣
｢俺だって自分のペースがあんねんっ…ごほっ…いつも大ちゃんのペースでやるのもう疲れた…げほっ…ごほっげほっ｣
｢じゃあもういいわ。｣
完全に八つ当たりだった。こういうことが言いたかったわけじゃない。
こんなの違う。全然違う。本当にただちょっと疲れてただけ。
だけど、それは大ちゃんも同じだ。
大ちゃんだって俺の連日の発作の処置で疲れてるはずなのに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 177人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆみ - いつもお話し楽しく読ませていただいてます。続編3にパスワード保護がかかっているのですが、そちらのお話もとても読みたいのでパスワードを教えてもらうことは可能でしょうか？ご検討よろしくお願いします。 (9月18日 10時) (
レス) id: e03a8ccf64 (このIDを非表示/違反報告)
ちらん(プロフ) - くろさん» 準備が整い次第、全体公開致しますので今しばらくお待ちください…！記載しておけばよかったです申し訳ないです(＞＜) (9月11日 5時) (レス) @page47 id: 833f0882ae (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - 続編の3について、パスワードを教えていただくことは可能ですか？？ (9月11日 5時) (レス) @page47 id: 548a30f309 (このIDを非表示/違反報告)
yuujun21(プロフ) - ちらんさん» ありがとうございますm(_ _)mお話のストックがたくさんあるとの事なのでそちら優先でも全然大丈夫です(*´ω｀*)更新楽しみにしてます♪ (9月6日 8時) (レス) id: f5e33b72b7 (このIDを非表示/違反報告)
ちらん(プロフ) - yuiyuikankanさん» リクエストありがとうございます！順番にお書き致しますのでしばらくお待ちください…！ (9月5日 20時) (レス) id: 833f0882ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちらん | 作成日時：2023年7月28日 23時
