夜桜を照らす月光

・・・・・・・・ ページ28

二刃side

強くなるのに、近道なんて本来ないんだ

才能とか、血筋とか、そんなの関係なしに


弱いもんは守れないんだよ



だから強くなんなきゃならない


だから、血反吐吐いて、骨折って、ひたすら努力するしかないんだよ

人一人にできることなんて、努力することくらいなんだから




二刃「自分すら大事にできない奴に、誰かを大事になんかできやしない」ｽ…



だからどんなに苦しかろうとね、遠回りしてでも確実に生きて強くなるんだ

生きなきゃ、生きてなきゃ、なんにも意味がない



二刃「近道に逃げず忍耐することも訓練の一つだと肝に銘じな

今後もここで訓練する気があるならね」



死のうとしてる奴を強くするだなんて、あたしはごめんだよ


だから取り敢えず、今は一つ一つ課題をこなせば良い




二刃「あたしのお古だ。治るまでそれで勉強するといい」

太陽「………！あ、ありがとうございます！」


二刃「お大事に」




―――――――――
―――――
――



さて………これで太陽は大丈夫かな


スッ




スマホを取り出して、昔の懐かしい動画を再生する

あたしが六美を持ち上げてぶん回してる(←言い方)動画だ


……これで普通に笑顔で喜んでる六美も六美だね…←




二刃「フフ…甘いのはあたしだったねぇ」




“気持ちでどうにかなるほど世の中甘くない”

あたしは太陽にそう言った


それが現実ってもんだからねぇ



でも、太陽はそんな枠に収まらないような奴だったわけだ



あんなに自分を追い詰めたら、常人なら体の前に心が限界を超える筈


あの子を支えているのは才能や努力なんて生易しいものじゃない

「気持ち」だ


「気持ち」でどうにかならない筈のことを、「気持ち」でどうにかしようとしてる



まさに、狂気にも近い六美への「愛」

成る程、確かに凶一郎と似てるよ

決定的な違いはあるけどね




もしかしたら太陽(あの子)はあたしが思う以上に、六美を守るに相応しい存在なのかもしれない

姉ちゃんが太陽を認めたのも、これが理由なんだろ？



―――――――――
―――――
――

一ヶ月目


太陽はとうとう、最後のトラップ、トイレのドアも攻略した

皆で胴上げ……いや大げさだよ



でもこれで、太陽はうちの一員だ

しっかり鍛えてやらないとだね。……でないと姉ちゃんの訓練で死ぬから←



さぁ、太陽……









.






.








更なる地獄へようこそ(これからよろしくね)！(にっこり)←

指輪奪還→←・・・・・・・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す