誘拐事件 ６ ページ9
出久side
「A！」
Aの痛いという気持ちが伝わってくる。
僕はAに駆け寄り、抱き締める。
「ぐあ…。」
"ドタッ"
Aが体重をかけてきて尻餅をつく。Aの火が消えるように、一生懸命叩く。
「ぐ…う……。」
Aの皮膚が少しずつ鱗となり治っていく…。
僕は何もできないから、Aの頭を撫でてもう離れないように抱き締める。
"バサッ"
男の人が着ていた上着をAと僕にかけ、抱き上げてくれる。
「とりあえず、こいつらを移動させよう。」
「おいおい。この個性何？ヤバくね？」
金髪の人は狼狽えていた。
説明しなきゃとか、お礼言わなきゃとか思うのに、男の人の温もりに安心して瞼が落ちてくる…。
僕は夢を見た。
高華の雷獣と呼ばれた青年と、燃えるような赤い髪をもった弱く強い姫の夢。二人の人生をそれぞれ二人の視点で見た感じだ。そして、その傍にはAと同じような龍の力をもった四人の仲間がいた。大切な仲間たちと生き抜いた人生…。僕も二人のようにAを守れるような、支えられるような人になりたい…。
そう、思った。
「ん……。」
起きたら、目の前にあの男の人の顔があった。
「…。」
話そうとしたけれど声が出なかった。
「…ん？起きたか。」
《おはようございます。》
口パクで告げる。
「ああ、手当てはしたが、炎症が酷かったせいで話せなかったんだったな…。」
男の人が納得して、何かを探している。
今、僕は男の人の膝の上に座っていて、Aも同じように座っている。Aの鱗はいつもの位置と顔に少ししか残っていなかった。多分、Aのさっきの個性は黄龍の力と一緒なんだ。鱗が緑なのは、緑と青と黄色と白を混ぜたら緑だからかな？
「字、書けるか？」
男の人が紙とシャーペンを渡してくれる。
頷いて、僕は書き始める。
[たすけてくれて、ありがとうございます。ぽくは、みどりやいずくといいます。]
まだ僕は平仮名と片仮名しか書けない。
「出久か。俺は相澤消太。ヒーロー名はイレイザーヘッドだ。」
[あいざわさん。きんぱつのひとはどうしたんですか？]
「ああ、マイクか。あいつはプレゼントマイク。名前は山田ひざしだ。」
[おしえてくれて、ありがとうございます。それと、おとうとのなまえはみどりやAです。こせいは「りゅう」で、こせいをねらったひとにさらわれました。]
「ああ、彼処の地下で人身売買をしていたことは、彼処にいたヴィランと被害者から聞いてる。」
相澤さんが難しい顔をする。
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皐月(プロフ) - 刻ノ瀬月乃さん» ありがとうございます。頑張ります。更新はもうちょっと待ってください。 (2019年4月24日 7時) (
レス) id: 4b5b414424 (このIDを非表示/違反報告)
刻ノ瀬月乃(プロフ) - 凄く面白いです！続きが気になります。応援してます！！ (2019年4月24日 0時) (レス) id: 05191dc1a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：皐月 | 作成日時：2019年3月10日 13時
