誘拐事件 ５ ページ8
出久side
「にい…さん……へいき？」
僕が目を開けると、目の前でAのお腹に瓦礫が突き刺さっていた。さらに、周りは火に囲まれてる。
「A！ゲホッゴホッ」
喉が痛い……。
Aが心配しているのが伝わってくる。
その時、燃えている大きい物が倒れてくる。
「ぐあっ！」
「A！」
痛みを堪えつつもAの名前を呼ぶ。
Aは背中に燃えているものを背負って僕を守っている…。
「にいさん…。にげて……。もうすこしでそとだったから……。はやく……。」
「…わがっだ！」
喉が痛いせいで変な声になったけれど、Aに答えて精一杯走り出す。
撃たれたところは焼かれて血は出てないけれど、痛い。でも、痛くても走らなきゃ。
がむしゃらに走って、外に出た。大きいお屋敷の庭みたいだ。
庭にも火が広がってる。少しずつ僕と同じ首輪のついた人とか従業員とかが逃げている。
門から出ると人々はパニックに陥っていた。
"ドンッ"
くたびれた感じの男の人にぶつかる。
「だずげで！おどうどが！おどうどがながに！」
僕は一生懸命男の人にしがみついて伝える。
「だずげで！」
男の人を引っ張って後ろをみたとき…
屋敷が崩れ落ちた。
「A！A！」
「待て！戻ろうとするな！」
僕が戻ろうとすると、男の人が抱き上げて止める。
「だっで、Aが！いだいっで！」
Aが苦しんでる！僕の手首とか喉とかあちこちの火傷とかが比べ物にならないくらい痛いって苦しんでる！
「わかった。わかったから落ち着け！」
男の人に抱えあげられながら崩れ落ちていく屋敷を見ている。ヒーローも屋敷に向かってる。
でも、Aは出てこない。まだ痛いって苦しんでる。
男の人も個性を使って逃げようとしているヴィランを捕まえてる。ヒーローだったんだ…。
僕が暴れなくなったら、男の人は僕を下におろした。僕はAの痛いって気持ちが伝わってきて、ただただ男の人の服の裾を握りしめて屋敷を見つめた。
暫くして炎がある程度収まってきたとき、僕はAが近づいているのを感じて屋敷へと歩き出した。庭はもう鎮火していて、男の人は黙ってついてきてくれた。いつの間にか、金髪の人も合流してた。
「…おい！」
Aに呼ばれた気がして走り出したその時、
"ドサッ"
まだ少し燃えてる瓦礫の山の一部が動く。
「ぐあ…に"い"ざ…ん"……。」
焼死体のように黒く炭のようになったAが出てくる…。まだ燃えているところもある…。半裸の状態だ。
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皐月(プロフ) - 刻ノ瀬月乃さん» ありがとうございます。頑張ります。更新はもうちょっと待ってください。 (2019年4月24日 7時) (
レス) id: 4b5b414424 (このIDを非表示/違反報告)
刻ノ瀬月乃(プロフ) - 凄く面白いです！続きが気になります。応援してます！！ (2019年4月24日 0時) (レス) id: 05191dc1a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：皐月 | 作成日時：2019年3月10日 13時
