43「やっぱり嫌いだ…」 ページ3
・
エース兄の部屋を後にして、長い廊下をやることもないからブラブラと歩く。
すると、前の方からティーチさんがやってきた。
ティ「お！A、どこ行くんだ？」
貴「どこにも」
ティ「相変わらずおれには冷てぇな！ゼハハハハ！」
私はこの人が嫌い。
正確に言うと、この人の“匂い”が嫌い。
この人は鼻の奥にこびりつくような、ネバネバした匂いがする。
匂いなのだから本人にはどうしようもできない。
仕方ないことだと思っても、本能がこの人を拒む。
だからどうしても態度が冷たくなる。
ティ「じゃあ、おれァ行くぜ！」
「またな」と、頭に手を置かれた。
貴「っ!!」
私は、反射的に振り返る。
貴「今っ…」
頭に手を置かれたとき、ティーチさんの手から何か黒いものが出て、私の背中を這うような気がした。
あの人の匂い見たいに、ネバネバした黒いもの。
一気に全身の毛が逆立つのがわかった。
気持ち悪い。
貴「やっぱり嫌いだ…」
長い廊下に、私の言葉が静かに響いた。
貴「マルコさん!!」
マ「うおっ！Aかよい、ノックぐらいしろ」
私が勢い良く扉を開けると本棚の所に立っていたマルコさんは持っていた本を落とした。
そんなことは気にせず、羽を使ってマルコさんに抱きつく。
するとマルコさんは勢いに絶えきれず、後ろに崩れ落ちた。
マ「おまっ、おれを殺す気か。抱きつくのは構わねぇが羽は使うな」
貴「抱きつくのはいいんだ」
マルコさんを床に押し倒したまま、その胸板に顔を埋める。
マ「…どうした、エースに何かされたか？」
貴「ううん、されてない…気持ち悪かった」
マ「なにがだ？」
貴「…」
なんて説明したらいいのかがわからなかった。
あれは私の錯覚だとわかっているけどそれでも全身の毛が逆立つ。
貴「マルコさんはいい匂い」
マ「同じ石鹸使ってるなら、お前も同じだよい」
貴「違うよ、私とマルコさんじゃ」
マ「…おれにはわからないねい」
人間にはわからない。
妖精族は鼻が良いから、その人の“香り”だけじゃなく“人柄”も嗅ぎとる。
私の言う“匂い”は“人柄”のこと。
貴「マルコさんはそのままでいて」
マ「何の事かわからねぇが、わかったよい」
貴「どっちなの」
笑いながら、マルコさんの心臓の音に耳をすませる。
規則正しい音が私の鼓膜を揺らす。
そして、ゆっくりと目を閉じた。
マ「おい、このまま寝るんじゃないよい」
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 305人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アニメラブ(プロフ) - マルコサイコー (2017年3月23日 23時) (
レス) id: 9491c8ca0e (このIDを非表示/違反報告)
練乳 - 見た目は大人でも中身は幼いもんねw (2017年3月12日 23時) (レス) id: 99256091e7 (このIDを非表示/違反報告)
かすみ(プロフ) - めちゃくちゃ主人公可愛いです！！癒しオーラ半端ない (2017年3月1日 6時) (レス) id: 617b268523 (このIDを非表示/違反報告)
サルクス - 中身は44歳に笑いましたwとても楽しいです！マルコさん優しいぃぃ！！これからも楽しみにしています！応援しています！ (2017年2月12日 23時) (レス) id: bfb93ef8fc (このIDを非表示/違反報告)
チョロミー - 毎回更新楽しみに待っています！何回も読み返してます！その度にキュンキュンします！ (2017年1月29日 0時) (レス) id: 9402e3d5d0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：「ぱずる」 | 作成日時：2017年1月9日 13時
