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23.空を見ていた ページ24

「いや、でも…」


思わず口をついて出た反論。
私は彼らに遠慮して敬語を使っているのではない。
本当に敬意を示しているからこそ、敬語を使っているのだ。


「そうだぜA。仲間に遠慮なんざぁする必要はねぇんだ」


次は右斜め前のフランキーが会話に入ってくる。
どうやら彼らは、私が遠慮していると勘違いしているらしかった。


「私達も敬語使われるなんて慣れてないもの。ない方がやりやすいわ」
 

「ロビンさんまで…」


いや違う、そうじゃない。
憧れてきた存在と、自分が同等に並ぶことがなんだかむず痒いのだ。
けれど、ここまで押されて頑なに貫き通すほどの意地ではないから。


「えっ…と、じゃあ、頑張り、ます…」


「“ます”?」


「あっ、頑張、る…」


あぁ、なんだかこれは意識しておかないと難しそうだ。









お昼ご飯も終え、サンジに断られながらも片付けを手伝った後は自由時間。
私はフォアマストの前に腰掛けて空を眺めていた。
ここは船の様子を見渡せる場所だから、私のお気に入りだ。

微かに吹く風が優しく通り抜けていく。


「なあっ!」


「チョッパー、どうしたの?」


「何を見てるんだ?」


「空だよ」


「Aは空が好きなのか?」


好き?
いいや、そんなのじゃない。
特別な思い入れがあるわけでもないし、空を綺麗だと見上げ続けるほど詩人的でもない。
ただ、


「空が広いなぁって思ってさ」


遮るものがないこの空を、私はずっと見てみたかったのだ。
空本来の広さを、開放感を、壮大さを。


「…なんで、そんなに悲しそうなんだ?」


「えっ?」


驚いて視線をチョッパーに移す。


「そんな顔、してた?」


頷くチョッパー。
どうやら私は無意識に感傷に浸っていたらしい、


「大丈夫だよ、ありがとう」


その小さな頭を撫でて、もう一度空を見上げる。




なんとも雄大なこの空に、溺れてしまいたかった。




24.非日常に影が差す→←22.おはよう、賑やかな日



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ぷりん(プロフ) - 「ぱずる」さん» そうなんですね!何も知らずごめんなさい😿とても面白い作品でお気に入りです!更新頑張ってください応援してます✊🏻🤍 (2022年8月24日 0時) (レス) id: 30c6d797b4 (このIDを非表示/違反報告)
「ぱずる」(プロフ) - ぷりんさん» 誤解させてしまってすみません!今この作品書き直しの途中でして、まだ14話からは更新できてない状況です。続編はまだ手をつけてないのでそのままなんです。誤解させてすみません点 (2022年8月23日 21時) (レス) id: 6f1abe1470 (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん(プロフ) - 13話から話が飛んでいて次の続編へ行ってしまうのですが14話からは作者様が消されてしまったのでしょうか😿 (2022年8月23日 21時) (レス) id: 30c6d797b4 (このIDを非表示/違反報告)
シェイガー(プロフ) - こんな現象が本当にあったらいいのにな〜笑笑 (2019年9月2日 3時) (レス) id: 524b76be29 (このIDを非表示/違反報告)
むちゅ - 学校も楽しくないし行きたくない、アニメを見てた方が、本当に幸せだと感じる。そう思うのは私だけですかね… (2017年1月9日 22時) (レス) id: 81902d63ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:「ぱずる」 | 作成日時:2016年8月31日 23時

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