14.その涙はもったいない ページ15
《Zoro side》
甲板で昼寝をしていた。
ワイワイ騒いでいる声を聞きながら眠るのも悪くはなかったが、今日は途中から話し声に変わっていた。
最近入った新入りの女。
異世界から来たとかいう、怪しい女。
目を瞑る。
なんとなくその話し声に耳を傾ける。
(へぇ、海賊がいねぇのか…)
海賊がいないというその世界。
この世界よりも平和らしいその世界が気になったが、続きは語られなかった。
目を開ける。
チョッパーを抱きしめながら、そいつは少し震えていた。
世界が嫌いだと、そう言って泣いた。
別に驚きはしない。
こちらの世界にはそういうやつは五万といる。
重たい腰をあげた。
別に何か理由があったからではない。
ただ、もったいないと、そう思った。
「泣いてんじゃねぇよ」
その小さな頭をかき乱す。
何事かと向けられた目は潤んでいて、そして震えていた。
「おいクソマリモ！！レディの髪の毛は大切に扱えよ！！」
「うるせぇ、エロコック」
「あぁ！？」
「止めなさい」
クソコックはナミに任せ、不安げな目と目線を合わせるためにしゃがみ込む。
近くで見ると、以外と綺麗な顔してんのな。
「お前が向こうで何があったかは知らねぇが今お前がいるのはこの世界だ。大海賊時代だ。せっかく海に出て来てんだ。楽しまなきゃ損だろ？」
自分らしくないとは思った。
けれどその小さな背中が、かつて女は世界一強くなれないと泣いたライバルと重なったから。
助けられなかったあいつを、今なら救える気がしたから。
「ゾロお前、いいこと言うなぁ〜、にししし」
そいつの頭をぐしゃっと撫でて立ち上がる。
少し荒かった呼吸も、落ち着いたようだ。
「…ありがとうございます」
小さく呟かれた言葉は確かに俺の耳に届いた。
なんてことをしたわけではない。
ただ、もったいないと、そう思っただけなのだ。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 334人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「トリップ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぷりん(プロフ) - 「ぱずる」さん» そうなんですね！何も知らずごめんなさい😿とても面白い作品でお気に入りです！更新頑張ってください応援してます✊🏻🤍 (2022年8月24日 0時) (
レス) id: 30c6d797b4 (このIDを非表示/違反報告)
「ぱずる」(プロフ) - ぷりんさん» 誤解させてしまってすみません！今この作品書き直しの途中でして、まだ14話からは更新できてない状況です。続編はまだ手をつけてないのでそのままなんです。誤解させてすみません点 (2022年8月23日 21時) (レス) id: 6f1abe1470 (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん(プロフ) - 13話から話が飛んでいて次の続編へ行ってしまうのですが14話からは作者様が消されてしまったのでしょうか😿 (2022年8月23日 21時) (レス) id: 30c6d797b4 (このIDを非表示/違反報告)
シェイガー(プロフ) - こんな現象が本当にあったらいいのにな〜笑笑 (2019年9月2日 3時) (レス) id: 524b76be29 (このIDを非表示/違反報告)
むちゅ - 学校も楽しくないし行きたくない、アニメを見てた方が、本当に幸せだと感じる。そう思うのは私だけですかね… (2017年1月9日 22時) (レス) id: 81902d63ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：「ぱずる」 | 作成日時：2016年8月31日 23時
