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手首の瘡蓋 9本 ページ9
声が震えていた。
目には涙が溜まっていた。
生まれてきた事を祝われた事など、一度もなかった。
自分の生まれた日など気にしたこともなかった。
これから生きていくという事を考えもしなかった。
「Aちゃん」
優しい声で、名を呼ばれた。
見上げれば、太陽が笑いかけている。
「生まれてきてくれて、ありがとう」
ゆっくりとその大きな手に両手を包まれる。
「おれ達と出会ってくれて、ありがとう」
その手をなんとか握り返す。
「あ、わ…わたっ、し…」
足元を見つめ、言葉を話そうと顔をあげるも、笑っている仲間の顔を見て、また俯く。
「わた、し、私ね…っ」
言葉が何度も何度も喉でつかえる。
吐き出したい言葉が吐き出せない。
けれど彼らがその先を急かすことはなかった。
「私っ、今…！生まれてきてっ、よ、よかったって…っ、おも、思ってるっ…！」
・
続く (更新停止中)
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ロシナンテ(プロフ) - この作品の大ファンです！これからも楽しみにしています！ (11月1日 22時) (
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作者名：「ぱずる」 | 作成日時：2023年9月25日 2時
