解剖医は死にたがりII【ONE PIECE】 (ページ3)

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手首の瘡蓋　3本ページ3

幼い頃から虐げられ、Aは自身の誕生日を知らない。

もちろん、誕生日など祝われたことすらなかった。

そもそも、Aを助け出し船に連れてきた後、名前や年齢を聞いても彼女は首を横に振るだけだった。

何も答えなかったのだ。

仕方なく村の村長を捉え、彼女に関する情報を聞き出し、なんとか得られたのが「A」という名前と、当時16歳であるということ、そして物が透けて見える特異な子である、というものだけだった。

(生まれてきたことを誰にも祝われたことねぇなんて、そんなこと…)

フライパンを振りながら、サンジは今はそばにいない彼女のことを想う。

誕生日がわからないのなら、この一味に入った日を誕生日にすればいいと言ったのはナミだった。

「"忌み子"としてのあの子が生まれた日じゃなくて、"海賊"としてのあの子が生まれた日を誕生日にすればいい」、と。

今日は彼女の"初めて"の誕生日。

サンジはコンロの火を止め、フライパンを置く。

ご馳走もケーキも飾り付けも、プレゼントも準備は進んでいる。

最近の彼女は、自身の気持ちの整理がつかず、ずっと落ち込んでいた。

だから今日でその気持ちから、「死ななければならない」という呪縛から解放できるように。

今夜は、なんとしてでも最高のものにしなければならなかった。

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