7.何を望み何を与える ページ8
「おれは、あいつに、死んでほしいんだよい...」
夜、酒を片手に本音をこぼすことが出来るのは、親父の前だけだった。
仕事をこなす昼間とは違い、この時間、おれは酷く弱くなったように感じる。
世界はこんなにも広いのに、何も出来ないおれはなぜここにいるのかと、疑問に思う。
「それはお前ェが決めることじゃねェ。驕るなよ。あいつの人生を、お前ェが諦めてどうする」
そうだ、あいつの人生はあいつが決めるべきなのだ。
だからおれはこうして、自分が何も出来ないと不貞腐れている事しかできないのだ。
おれが悩んでいるのはいつだってAの事で、それは大抵おれにはどうにもできない。
グイッと酒を煽る。
「おれは、」
「何も出来ねェなんて腑抜けたこと抜かすんじゃねェぞ」
図星を突かれ、何も言えなかった。
盃の水面に映る、酷く頼りない自分の顔を見つめる。
「空にでも連れて行ってやればいい。見えなくてもあいつは空が好きだろう。贅沢なことは要らねェさ、あいつはそんなもの望んじゃいねェ」
親父が大きな酒瓶を煽ぐ。
太い喉が上下に動くのを、どこか夢のように見ていた。
「ほらもう寝ろ。そんな面してらァ美味い酒も不味くなる」
「...あぁ、そうするよい」
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「ぱずる」(プロフ) - 哀羅さん» はい、新作を作ろうと思ってますのでもう少しお待ち下さい! (2020年11月20日 2時) (レス) id: 6f1abe1470 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 「ぱずる」さん» またなにか新作作られますか?楽しみにしてますね! (2020年11月19日 19時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
「ぱずる」(プロフ) - 哀羅さん» そう言っていただけてめっちゃ嬉しいです!!最後までご愛読ありがとうございました!! (2020年11月19日 9時) (レス) id: 6f1abe1470 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - おつかれざまでじだ泣泣泣もう涙腺崩壊中でず泣でもっ!でもっ!主ちゃんとマルコなりの幸せの形が見えました。最高の結末です。 (2020年11月19日 2時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 「ぱずる」さん» ですよね〜泣最後どうなってまうんやろうなぁ…気になりすぎる!待ってます! (2020年11月15日 16時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:「ぱずる」 | 作成日時:2020年6月24日 3時