16.生きるための言葉 ページ17
彼女が立てた人差し指が、おれの胸に触れた。
冷たい指先が肌に直接触れ、鳥肌がたつ。
それはまるで心臓に狙いを定めているようだった。
「いつ死ぬかも分からない体?だから危ない?貴方は随分と人間の”生”を勘違いしてるみたいね」
「いつ死ぬかは分からない。えぇ、確かにそうね。だって私の体はこんなにも奇病に曝されているんだもの」
「でも、マルコ。”それ”は私だけに限った事なの?貴方が明日、ましてや一時間後、生きている保証はどこにあるの?」
「貴方は一時間後、海楼石に繋がれて、銃で撃ち抜かれるかもしれない。明日、大病に侵されて、死んでしまうかもしれない」
「ねぇ、マルコ。私と貴方の時間の価値は同じでしょう?私だけが特別だなんて事はありえない。貴方は私と比べて、自分の生を疎かにしてる」
「私が病気で可哀想だから?同情した?バカにしないで。貴方は私を殺したいんじゃない。私の生を貴方の中で強引な理由をつけて綺麗なお話にしたいだけでしょう」
「いい加減、私の生に執着するのはやめなさい」
「貴方にも貴方が生きるべき時間があるでしょう」
そう言い残し、彼女は一人で船を降りていった。
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「ぱずる」(プロフ) - 哀羅さん» はい、新作を作ろうと思ってますのでもう少しお待ち下さい! (2020年11月20日 2時) (レス) id: 6f1abe1470 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 「ぱずる」さん» またなにか新作作られますか?楽しみにしてますね! (2020年11月19日 19時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
「ぱずる」(プロフ) - 哀羅さん» そう言っていただけてめっちゃ嬉しいです!!最後までご愛読ありがとうございました!! (2020年11月19日 9時) (レス) id: 6f1abe1470 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - おつかれざまでじだ泣泣泣もう涙腺崩壊中でず泣でもっ!でもっ!主ちゃんとマルコなりの幸せの形が見えました。最高の結末です。 (2020年11月19日 2時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 「ぱずる」さん» ですよね〜泣最後どうなってまうんやろうなぁ…気になりすぎる!待ってます! (2020年11月15日 16時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:「ぱずる」 | 作成日時:2020年6月24日 3時