14.それは矛盾する気持ち ページ15
窓から光が差し込み、他の船員よりも少しだけ早い朝。
昨日はそのまま眠りにつき、隣ではAがこちらに背を向けて眠っていた。
ふと、自分の体を見下ろす。
Aが眠っている時、彼女自信に花は咲かない。
彼女を囲むように花が咲く。
まるで外部の何かから、彼女を守るように生き生きと。
そうやって咲いた花が、おれの体にも巻きついていた。
腕や足に絡まり、まるで獲物を捕まえているみたいだと思った。
その中の1輪に、手を添える。
「...どうしてお前たちは、Aの命を奪っていくんだよい」
Aの命さえ奪わなけば、おれはこの花を綺麗だと愛でることも出来たのだ。
水を与え、肥料を撒き、輝くように咲くその姿に単純に心を潤していただろう。
でも、この小さな1輪が酷く憎い。
手に取った1輪がおもむろにしぼみ始める。
Aの目が覚めた証拠だ。
「ん、おはよ、マルコ...」
寝ぼけ眼で振り返った彼女を、そのまま抱き寄せ腕の中に閉じ込める。
「あぁ、おはよう」
「ふふふ、動けないわ」
クスクスと楽しそうに笑う彼女が、この世の何よりも愛おしい。
かの有名な女海賊や、魚人島の人魚姫さえ、この病弱な彼女には敵わない。
「そろそろ起きないと、朝ご飯の時間よ?」
「...もう少しだけだよい」
もう少しだけ。
もう少しだけ。
もう少しだけ、おれはお前とこの先の海を見てみたい。
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「ぱずる」(プロフ) - 哀羅さん» はい、新作を作ろうと思ってますのでもう少しお待ち下さい! (2020年11月20日 2時) (レス) id: 6f1abe1470 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 「ぱずる」さん» またなにか新作作られますか?楽しみにしてますね! (2020年11月19日 19時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
「ぱずる」(プロフ) - 哀羅さん» そう言っていただけてめっちゃ嬉しいです!!最後までご愛読ありがとうございました!! (2020年11月19日 9時) (レス) id: 6f1abe1470 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - おつかれざまでじだ泣泣泣もう涙腺崩壊中でず泣でもっ!でもっ!主ちゃんとマルコなりの幸せの形が見えました。最高の結末です。 (2020年11月19日 2時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 「ぱずる」さん» ですよね〜泣最後どうなってまうんやろうなぁ…気になりすぎる!待ってます! (2020年11月15日 16時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:「ぱずる」 | 作成日時:2020年6月24日 3時