浮かんだ話を書くだけの短編集

【オリジナル】不老不死 ページ1

「あー本気で不老不死になりたい……」

「あ？馬鹿だろお前。」

「は？いきなりバカとか言われたくねぇし。」


「だって考えてみろよお前。不老不死って事は何しても死ねないし歳いくら重ねても死なないんだぞ？」

「だからいいんじゃん。しかも不老不死だって分かればテレビからの取材も引切り無しだって。一生遊んで暮らせるんじゃね？」


「じゃあ仮定するけど、お前が○○ちゃんと付き合って結婚したとしようや。」

「うん」

「歳を追うごとに○○ちゃんはおばあちゃんになるし子供は大人になる。

でもお前は歳をとらないままだ。そんで○○ちゃんが死ぬ。

子供も歳をとってじじばばになる。んで死ぬ。お前はいつまでもそのまま死なない。

孫やこのまた孫の世代になってもお前はずっと大切な人の死を見届け続ける。」


「太陽が爆発するか地球に人が住めなくなるか巨大隕石がぶつかるかで地球から人類が滅ぶ。まあ地球が滅んでもいいけどな。

当然お前は死なない。地球が無くなった場合お前は空気も水もないまま宇宙空間へ放り出されるわけだ。

当然人間は水や空気無しで生きられないよな？不老不死になろうが苦しみが残ってればお前は水も空気も食い物もないその状況に苦しみ続けるんだ。でも死ねない。」


「当然地球が滅びれば人類は死ぬ。お前はその大切な人達の死を間近で見ることになる。

恐怖に慄いた顔、生にしがみつく言葉、当然死なないお前への文句もあるだろうな。それを近くで見る、浴びることになる訳だ。」


「しかも、民衆の興味ってのはそう長くは続かん。お前が注目されるのは一時だけだ。

しかも不老不死の場合一生遊んで暮らすことは不可能だ。そもそも終わりがないからな。

それにどうせ不老不死だと言ったところで「イタイ奴」止まりだぞ。」



「不老不死になるとはこういう事だ。それでも本気でなりたいと思うか？」


「……いや、いい…。」

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