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八頁 二つの鈴 ページ10

翌朝を迎えた
いつもは規則正しく時間通りに起きて、身支度と朝食を済ませ学校に行く…という一連の流れを迎えるはずが今日は違った


『一睡も…できんかった』


昨夜は帰宅した後ずっとリビングでお母さんの帰りを待っていた
信じない、などと双子に啖呵を切ったくせに…
お母さんは帰ってこなかった…
双子の話が…本当だったの…?


『なんでなん…』


力無く零れた言葉
窓の外を見ると大雨
まるで今の私の心を表しているかのようで


『学校…めんどくさいな』


着替えも朝食の支度も全てが億劫だった
もう一度布団に潜った瞬間(とき)のこと
インターホンが鳴り響いた


『!?』


咄嗟に布団から飛び起きて玄関に走る
ロックを解除して勢い良く扉を開いた



ガンッ))))


「いっ!…ってぇ」


『…!…あ、…倫太郎…か』


扉の目の前に居たのはお母さんではなく倫太郎だった


「勢いつけ過ぎ…って…なんでまだパジャマのままなんだよ…」


『……』


「早く着替えないと遅刻す……、何で泣いてるん」


倫太郎に言われて気付いた
自分が泣いてるということに


『…っ…何でもない…ごめん』


「……はぁ」


困った顔した倫太郎は溜息を一つ零した
そっと私の後頭部に手を回し自分の胸に寄せる
ほんま…倫太郎の優しさに助けられてばかりやな
落ち着いたか私の様子を窺っていた倫太郎にいつものように"大丈夫"と言った


「学校…行けるか?」


『うん、ごめんな』


「お前は謝ってばっかやな」


『せやな…あ、倫太郎!あんた朝練…』


「あぁ…大丈夫、今日は遅れるって連絡してるし」


『は?何で?』


「昨日の事もあって…お前のこと心配やったし」


そう真っ向から言われて私は倫太郎には敵わないと
改めて思った
どんな嘘をついても彼にはお見通しなんか…


『心配かけてごめん、とにかく制服に着替えてすぐに支度するから!ちょっとリビングで待ってて!』


制服に着替える為に部屋に戻って身支度を急いでした
朝食を抜くのは何時ぶりだろう…
リビングで待っててくれた倫太郎にお待たせ、と声を掛け一緒に玄関を出た


チリンチリン))))


『?』


鈴の音がスカートのポケットから聴こえた
ポケットに手を突っ込むとそこには金と銀の二つの
鈴がはいっていた


「鈴とか持ってた?」


『あ、……うん』


見覚えのない鈴が二つ
でもこれはきっとあの双子の狐の仕業だ


『雨、酷なってきたな…はよ行こか』


傘をさして家を後にした

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迦楼羅(プロフ) - 湯たんぽさん» コメント及び応援のお言葉誠に有難うございます!不定期更新で申し訳御座いません! (2018年3月4日 23時) (レス) id: b24814f2bb (このIDを非表示/違反報告)
湯たんぽ - これからも頑張って下さい応援してます!!v(^_^v)♪ (2018年2月17日 3時) (レス) id: e17635b3c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:迦楼羅 | 作成日時:2018年2月9日 6時

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