九頁 雨と涙 ページ11
止む様子のない雨を教室から眺めていた
何故だか分からないがこうしてると落ち着く
午前中の授業も丁度チャイムの音を合図に終わった
クラスの皆はそれぞれ昼食の準備をし始めている
『……』
ポケットに入っている2つの鈴を触る
中でちいさく鳴らす鈴の音
ポケットから手を出して今度は机の横に掛けてる
スクールカバンを手に取った
「…帰るん？」
席から移動してきた倫太郎が言った
『うん…やっぱりちょっと気分悪くてな』
「そうか…無理すんなよ」
『ありがと…先生に早退するって伝えといてくれる？』
「分かってる…気を付けて帰れよ」
返事の代わりにコクンと頷いて教室を後にした
外はさっきより雨が強くなっていた
靴に履き替えて校門を出る
『……』
家に帰る道とは反対方向の道に沿って私は歩き出した
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昨日と同じ場所…
あの神社に続く石段がある筈の場所に来ていた
だけど…
『……ない』
神社に続く石段の道が無かった
昨日から不思議な体験をしている為か大して驚きは
してなかった…
当然か…私は二人を拒んだんだ
周りには人気がやはり無くて私一人
まるで異空間にいる気分だった
雨に伴って風も強くなってきていたせいで突風により力なく持っていた傘が飛ばされてしまった
『…さむ』
あっという間に制服はびしょ濡れ
いつまで此処に立っているつもりだ
もうあの神社には…あの双子には…
用もないはずなのに…
それでも…
チリンチリン…))))
ポケットから鈴を取り出して胸の前で握りしめた
そして強く…強く願ってしまった
『…っ…会いたいよ…侑…治…』
蹲って二人の名前を弱々しく呼んだ
来るはずもない……
………って思っていたのに
蹲る私の前に大きな影が覆いかぶさった
私にあたっていた冷たい雨もその影の主により
遮られた
「ほんま…素直になるん遅いわぁ」
ゆっくりと顔をあげた
そこには傘を私にさしてくれている侑
その横には治も立っていた
『なん…っで…此処…に…っ』
「なんでって…迎えに来たんやん」
そう笑って言う侑
『…私…あんなに…酷い事言った…のに…』
「そんなの関係あらへん…Aが俺等の名前を呼ぶ限り何処でも駆けつけるわ」
私の目線に合わせて言う治
『……っふ…ぅ…』
目が霞む…
それは雨のせいか…それとも…
涙のせいか…
終わり
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迦楼羅(プロフ) - 湯たんぽさん» コメント及び応援のお言葉誠に有難うございます！不定期更新で申し訳御座いません！ (2018年3月4日 23時) (
レス) id: b24814f2bb (このIDを非表示/違反報告)
湯たんぽ - これからも頑張って下さい応援してます！！ｖ（＾＿＾ｖ）♪ (2018年2月17日 3時) (レス) id: e17635b3c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：迦楼羅 | 作成日時：2018年2月9日 6時
