根暗がゲスに恋をした。【HQ】

赤髪男子 ページ2

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移動が終わり、適当な席に着けばすぐ隣に人が来る




目立つ赤髪にギョロ目、人気者と言っても過言ではない。天童くんだ





同じクラスで名前は知っている。しかし話したことがない

天童くんも周囲に知り合いがいないせいなのか、椅子の背もたれに寄りかかって暇そうにしてた




この席だけが切り離されたように静かだ。会話がないし、非常に気まずい




気休めにノートを開いたり、教科書を読んだりしてみたが、まだまだ十分すぎるほど時間がある
　


もうこの空気に耐えるしかないか。と諦めモードでノートを閉じようとした。が、大きくて細い手がそれを止めた





「え」



「あ、ゴメン」







テヘッと星が出てきそうなウインクをすると、そのままゆっくり私のノートを開いた



「ココ、UNDP」




「…あっ」



ノートに蛍光ペンで書かれた文字を指される。VNDPになってた





「眼鏡、度弱いんじゃない。黒板見えてる？」




「多分かけ忘れてたんだと思います…」



眼鏡歴が浅いもので、時々部屋に忘れてきてしまう。




にしてもこれは結構恥ずかしい。何なんだ最悪だ








「なるほどネ〜。……けどさ、前髪にも原因あると思うよ」



ホレホレ、と前髪を横に流される。少しだけ視界がクリアになった




「でもあんまり似合わないので…」






「そお？普通に止めちゃえばいいじゃん」




天童くんはそうだ、と自分のペンケースからピンを取り出した



「俺ワックス塗ってない時、前髪邪魔だから止めてるんだ〜」




「へぇ…」





「できたできた」



天童くんが手を離しても落ちてこない。正直こっちの方がいい



「……やっぱり合わないですよね」




「うん、似合わないね」




直球すぎるわ。ちょっとだけ傷ついたぞ天童くん

だけどこんな時、気を使われてばかりだった私にとってはとても新鮮だった




「んー、何だろ。なんか似合わない」



「ですよね…」



私が顔を手で覆うと、天童くんは前髪のピンを外した



「流す方がやっぱりいいか」




なんか美容師みたいだな…



「色々すみません……」




「え？俺が勝手にやってるだけダヨ」




うはは、と小さく笑った




「あ、俺天童覚っていうんだー」




「四万(しま)Aです」




「四万Aね。じゃ、改めてヨロシク」





その数分後、授業は開始した







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