縁側の幸せ2 (ページ38)

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『勝手にキッチン使ってごめんなさい、何も言わずに帰るのも悪いなと思って』

「良いよ、寧ろありがとうだよ。久しぶりにちゃんとした朝飯食べるかも」

『それなら良かったです』

2人はいただきますと揃えて、他愛もない話を続けながら朝ご飯を食べ進める
途中Aは今日の予定を聞かれたが、家具がそろそろ届くとメールが来ていたので家に帰って待たなければいけないと答えた

「じゃあさ、今日お邪魔しても良い？」

『良いですけど、家具が届いてからでも大丈夫ですか？』

「うん、連絡くれたらすぐ行くから」

『分かりました。そうだ！家具が届いたら一緒に映画見ませんか？サブスクに気になってた映画が更新されてたんです』

「そうなの？良いよ、見よっか」

『じゃあテレビが届いたらご連絡しますね』

「うん、よろしく」

2人ともご飯を食べ終えてご馳走様、と揃えて言った後
倫也は洗面所に行きAは後片付けを始めた

「はいこれ、使って」

洗い物を終えたAに洗面所から戻ってきた倫也は未使用の歯ブラシを手渡す
自分が今から歯磨きをする手前Aにだけ家に帰ってからさせるのもな、という倫也なりの配慮だった

『隣に帰ったらありますから、大丈夫ですよ』

「そう？」

『1度使うためだけに新品出すのは勿体無いですし』

笑って遠慮するAに倫也はニヤニヤと笑みを浮かべた

「1度だけじゃ無いかもしれないよ？うちに置いとけば良いじゃん」

『いや、もう今日には布団届きますし…一晩お世話になる事は無いと思いますよ？』

「そう？そんなに断言されると傷つくな〜」

言葉とは裏腹に楽しむ様なトーンで会話を進める倫也にAはどうするべきか戸惑っていた
すると倫也は真っ直ぐAに視線を合わせ、優しく微笑みながらAの頬を親指で擦るように撫でる

「俺はこんなに好きなのに、Aは気付いてないの？それとも、気付いてて知らん顔してた？」

触れられた頬と逸らせない視線だけでもいっぱいいっぱいのAは、倫也の思いがけない言葉にキャパオーバーを迎えていた

「まぁ、今は返事いらないから。ちゃんと俺の事意識してね」

そう悪戯に笑うとAの頭を軽く撫でて再び洗面所に戻っていく

顔の熱と胸の高鳴りでどうしたらいいのか分からなくなっていたAは、渡された歯ブラシを開封して倫也に着いていった