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家に帰るのを反対された事でやっぱり帰るのはなぁ…なんて思いながらとぼとぼと当てもなく歩いていると急に後ろから話しかけられて、心臓が跳ねる
『中村さん…!びっくりした…』
突然声をかけられたからなのか、現れた人物が中村さんだったからなのかは分からないけれど、顔が熱くなる
「やっほ、どこ行くの?もうAちゃんの家過ぎちゃったけど」
『あー…えっと…大雑把になっちゃうんですけど…どうやら今の家には帰らない方が良いらしく、これからどうしようか考えながら歩いてました』
なるべく明るい顔で答える私を意味が分からないというような表情で見つめた後、少し考え込んでゆっくりと口を開く
「それって、ストーカーされてるって事?」
『えぇ…何で分かっちゃうんですか?』
「まぁこの前追われてたみたいだしね、そうかなーって」
『あぁ、前に追われてた人はストーカーじゃなくて…ストーカーがこの街に来たぞって教えてくれたというか…なんというか…』
「…ん?ストーカーは他にいるの?この街に来たって、地元から出て来たのもそれが原因?」
『まぁ…そうなんです、中村さんが電話に出てくれた人が教えてくれた感じで…』
「あぁ…あの人…」
驚いた表情を隠す様に俯きながら歩幅を私に合わせて話してくれる中村さんの横顔を見てとても綺麗だなと思った
「どうした?凄い見られてる」
『いや…綺麗だなと思って』
「え?俺?」
クスクスと笑いながら否定する中村さんに私も釣られて笑った
「やっと笑ったね、そっちの方が良い」
ニコリと笑ってこちらを見る中村さんは
ドラマのワンシーンを見てるみたいだった
『…ありがとうございます』
照れている事がバレない様に手でパタパタと顔を扇ぎながら、これからの事を少し話す事にした
『そこの交番の人に相談させてもらって、今の所は見回り強化しか出来ないみたいで…オートロック付きのマンション勧められたので明日見に行ってみようと思います』
「そっか…仕事は?辞めちゃうの?」
『仕事先もバレちゃってて…まだ悩んでますけど、上司に相談させてもらって居てもいいって言われたら続けたいなと…』
「そうだね、うちのビルセキュリティはちゃんとしてるから…応援してる」
『ありがとうございます』
中村さんと話していると心地が良くて
自分が置かれてる状況を忘れそうになるなーーなんて思った
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作者名:村民 | 作成日時:2023年2月17日 17時