縁側の幸せ2 (ページ30)

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「そんなに楽しみにしてくれてるの？」

『はい、もちろん！』

「今日は何かいつもより素直だね？」

『え…？』

「何かあった？」

『いえ、ただ早く会いたいな、って』

倫也が作り出した沈黙にAはなんで黙ったんだろうとあまり深く考えていない様だった

「…今日なるべく早く帰るから、待ってて」

『はい、お仕事頑張って下さい』

「うん、じゃあ仕事戻るね」

またね、と電話が切れた
Aは目の前の帽子が入っているであろうラッピングを見つめる

『早く渡したいなぁ、喜んでくれるかな？あー、ワクワクする！』

Aが早く会いたいと言ったのはプレゼントを渡した反応を早く見たかったからだけの事だったのだが
電話を切った倫也はここ数日の疲れが吹っ飛んだようなニヤけた顔で、この後に詰まった仕事も全てうまくいく様な気分になっていた

電話を切った後、お願いしていた家具のレンタル業者から小さめのテーブルや座椅子等の細々したものが届く
大きめの家具や家電は2.3日後になるらしく、そんなに困る事も無いだろうと呑気に考えていたAだったが1つだけ困った事が起きた

『冷蔵庫無いってこんなに辛かったの…？』

夏は過ぎ去った9月中頃とはいえ、まだ暑さの残る日も多くマンションの隣のスーパーで買った冷えたお茶は早々に汗をかきぬるくなってしまっていた

今夜の晩御飯の買い出しは幸い隣のスーパーが24時間営業だった事で22時ギリギリに買えば済む
しかし後2.3日ぬるい水分を摂る事しか許されないのかと思うとAは憂鬱でしかたなかった

『小さめの冷蔵庫買おうかな…』

ネット通販という誘惑に負けそうになった時、倫也からのメッセージが届いた

「晩御飯の買い物して帰ろうか？
何かいるものある？」

『隣のスーパーで買うので大丈夫です！
今は冷たいお茶かお水が欲しいです』

本当に気遣いの人だなと感心しながらAは汗をかいてぬるくなったお茶のペットボトルの写真を添付して返事を送った