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「また変な男に目つけられちゃうかも、元彼なんかもこっちに来ちゃうくらいだもんね」
『…可愛いとかそういうのは中村さんくらいしか思ってないですよ』
「そうだったら俺は嬉しいけど」
『嬉しい…?』
「うん、女性として可愛いと思ってるのが俺だけなら良いのにって思うよ」
優しく微笑みながらそう言う倫也にAは顔に熱が集中するのを感じて思わず目を逸らした
「恥ずかしいの?」
晒した目を追う様に近づいて来る倫也の顔に耐えきれずAは再度目を合わせる
その瞬間、唇が重なった
この前のより長く、優しくキスをされながら倫也に後ろ髪を撫でられるA
だんだんと苦しくなり倫也の胸を叩いた
唇が離れてから肩で息をするAを倫也はクスクスと笑いながら見つめている
「顔真っ赤だよ」
『不意打ちはずるいです』
「じゃあしてって言ったらしてくれるの?」
『しません!』
「するよって言ったらして良いの?」
『ダメです!』
「えー、我儘だなぁ」
『…病院ではダメです』
Aがそう言うとニコと笑った倫也は「退院楽しみにしてる」とだけ言って帰って行った
『本当心臓に悪い』
そう呟きながらも顔はニヤけてしまう
Aはどうしようもなく倫也に惹かれている自分に気付いているし、倫也も自分の事を好きなのかもしれないという自惚ている様な気持ちもある
ただ一度も好きだとか付き合うだとかそういう言葉は倫也から出てきた事が無い
いつも可愛いだけで、それだけで赤くなっている
『キスはするのにな…』
そう不満を漏らしながらも贅沢だなぁと思い
今の関係が心地いいのも事実だと受け入れる
倫也と初めてキスをしたあの日から、倫也に可愛いと言われる度にAはずっとこの調子の浮き沈みを繰り返していた
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作者名:村民 | 作成日時:2023年2月17日 17時