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佐「それで、事件のことだけど」
佐藤からの質問は当日の事を教えて欲しい、それだけだった
Aは事細かにあの日の自分の行動を伝えた
関係あるのかな?と思いながらもドーナツ屋に寄った事から音楽を聞いていた事まで
佐「そう、ほぼほぼ監視カメラの映像とも目撃証言とも合致してるわね。
それで、犯人の顔を見たって言ってたけど知り合い?」
『そう、ですね…』
Aはバツが悪そうに地元でおきた全ての事を佐藤に伝えると、佐藤はみるみるうちに顔が歪み嫌悪なのか怒りなのか、どちらともなのか何とも言えない表情に変わっていた
佐「考えられない!地方とはいえ警察官がそんな事をしてるなんて!少し話は聞いていたんだけど許せないわね
安心してAさん、東京ではそんな事させない、ちゃんと犯人に罪を償わせるから」
『はい…ありがとうございます』
佐「Aさんは目が覚めて何か気になる事とかはない?」
『あ、スマホに知らない番号から電話が何件も来てて…職場や大切な人は登録してあるので出てないんですけど、もしかしたら…』
佐「御両親かもって?」
『あぁ、はい』
佐「御両親からは警察の方にも電話が来てるの、ただ聞く必要もない内容だったみたいだからAさんも出来るだけ出ない方が良いと思うわ」
『はい、出るつもりはないです』
佐「そう、じゃあまたお話聞きにくるかもしれないからよろしくね」
そう言いながら席を立ち病室を出て行った佐藤の後ろ姿にありがとうございます、とお礼を伝えてAはため息を1つもらした
高「終わったみたいだね?じゃあ、お見舞いの品だけ置いて僕は帰るから、意識が戻って安心したよ。それじゃ」
部屋に入るなり急ぐ様にお花だけを置いて佐藤の後を追いかける高木の背中にもお礼を伝えた
「疲れてない?」
『うん、大丈夫ですよ』
目を覚ましたばかりの身体を気遣う倫也の優しさに自然と顔が綻ぶA
「何?ニヤニヤしてる」
『何でもないです、そうだ何があったか聞きますか?』
「良いよ、佐藤さんだっけ?俺すぐそこに居たからあの人の声大きくて聞こえちゃった」
悪戯っぽく笑う倫也に釣られてAも自然と笑顔になる
本当は全部なんて聴こえているはずないのだが、1日に何度も同じ話を、しかも思い出したくない事を話さなきゃいけないなんて辛いだろうと倫也の気遣いでの嘘だった
もちろんAはそれにも気付いていて
『退院したら話しますね』と笑った
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作者名:村民 | 作成日時:2023年2月17日 17時