縁側の幸せ2 (ページ21)

今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:12,213 hit

70 ページ21

高「失礼します」

個室の扉を2回ノックして声をかけた高木が扉を開け中に進んでいく
倫也もその後ろをついて中に入った

『〜♪』

Aはまだ歌を聴いている様で2人に気づいていなかったが、少し違和感を感じて振り向く

『うわ！！びっくり…した…こんにちは』

目を見開いて驚いた顔をしたままイヤホンを外し挨拶をするA
意識が戻っていると聴いていなかったからか、高木は嬉しそうな表情を見せ「こんにちは」と挨拶を返した

その少し斜め後ろでAの姿を見て今にも泣きそうな顔をしている倫也にAは気付く

『あー、高木さんすみません。少し2人にさせてもらっても良いですか？私、話したい事があって』

高「え？あぁ、構いませんよ、外で待っていますので、ごゆっくり！」

そう言うと高木は倫也に少し視線を向け足早に病室を出て行く

倫也は目の前にいる頭に包帯を巻き痛々しい姿のAから目が逸らせなかった

『中村さん、ごめんなさい約束すっぽかして』

「…いや、そんな事より大丈夫なの？」

『見た目より全然平気で…す』

Aが言い終わる前に倫也はAを抱きしめる
力はそんなに込めずに優しくまるで壊れそうなものを触るみたいに

「大変な時に俺との約束なんか気にしなくて良い」

耳元で震えを抑えながら絞り出す様に出す声にAは申し訳なさや愛おしさでいっぱいになった

『大丈夫です、私は何とも無い…心配かけてごめんなさい』

「何とも無いなんて嘘でしょ、本当に心配した。」

『ごめんなさい』

「良いよ、無事で良かった。何があったかはまた今度話してくれる？」

高木さん呼んで来ないと、と外で待っている高木を呼びに行こうと扉に手をかけるが倫也が開くよりも先に扉は動いた

佐「どうも、警視庁刑事課捜査一課の佐藤です。少しお話聞きたいんだけど、良いかしら？」

ぶつかりそうになった倫也にごめんなさいね、と言いながら入ってきて自己紹介をする佐藤
その後ろから入ってくる高木は少し慌てた様子だった

高「まだ意識が戻ってから1日も経ってないんですよ？また後日でも…」

佐「あら、記憶が鮮明なうちに聴いておいた方が良いんじゃ無い？」

『私は大丈夫ですよ、お話します。』

佐「そう、じゃあ他の方は一度出て行って貰えるかしら？高木くん、君もね」

高「えぇ！？僕も！？」

佐「当たり前でしょ？貴方は生活安全課の人間じゃ無い」

そう言われて高木は倫也と共に外に出た