縁側の幸せ2 (ページ20)

今日:1 hit、昨日:10 hit、合計:12,222 hit

69 ページ20

「高木さんですか？おはようございます。」

高「おはようございます！わ…本物…いや、失礼しました。じゃあ、向かいましょうか」

「身分証は？いらないですか？」

待ち合わせ場所に着いた倫也は先に着いていたグレーのスーツ姿の男性に声をかける、グレーのスーツだとは電話で聞いていたが、そんな男性は何人か居た
何となくそうかな？という予想だけで高木を当て、慌てる高木に冗談を言う様に身分証の確認を進めた

高「いえ、もう身分は大体明らかなので大丈夫ですよ…昨日竹中さんに電話させてもらってちゃんと確認も取りましたし…ただ、竹中さんや他の方に入院先はもう言わないでくださいね」

「言いませんよ、大丈夫です。」

そこから病院まで歩き出したが道中ほとんど無言なのも気まずくなり高木から口を開いた

高「ご両親の事はお聞きになってますか？」

「Aさんのですか？聞いてますよ」

高「はい、その…ご両親やご兄弟から警視庁の方にも連絡がありまして、襲われた事は犯人のご家族から聞いたみたいでして、犯人が捕まると厄介だから被害届を取り下げるだとか、娘が悪いだとかそういう…意識が戻ったと分かったらまたAさんに接触しようとすると思いますので、入院先は必要最低限の方にしか教えてないんです」

「…そう、ですか」

高「被害届も何も傷害なので警察としてはそんな事させるわけにいかないですからね、相談してもらったのに守れなかった事を責められるかと思ったんですが、想像と違いすぎて驚きました。」

苦笑いを浮かべ辛そうにする高木の話に、そこまで酷い事が出来るものかと、怒りの様な悲しみの様な感情が込み上げ喉がキュッと閉まる様な感覚に襲われたが、早くAの様子が知りたくなった倫也は咳払いをして無理矢理に声を出した

「Aさんの様子は…無事なんですか？ニュースでは意識不明としか出て無かったですけど」

高「あぁ、意識がまだ戻ったという連絡は来てなくて…まぁ意識が戻ったとしても捜査一課にまず連絡がいくので僕に連絡が来るのはその後になると思うんです。大丈夫だと信じていましょう。」

不安な気持ちを隠す様に高木に笑いかけてみたが、拭える訳もなくまた無言が続く
どこを怪我したのかも知らない倫也は状況を聞く事も気が進まなかった
どんな状況で何をされたのかも聞いたら不安が余計に大きくなる気がしたからだ

2人でそのまま数分歩き続け警察病院に着き1つの病室へと案内された