縁側の幸せ2 (ページ13)

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次の日
朝早くから目が覚めてしまったAはまだ少し眠気が残るままテレビを付けた

『え…？中村さんまたテレビ出てる
朝早かったのに昨日来てくれたんだ…』

生放送の朝の情報番組に出演する彼を見かけて
昨日の事を思い出し顔に熱が集まるのを感じたAは誤魔化すように身支度を始める

外に出かける準備をして深呼吸を1度した後、Aは倫也から貰っていた連絡先に電話をかけた
電話口に出た竹中はとても愛想が良く優しげでAは少し安心した
今の状況を簡単に伝えると高木には伝えておくからすぐにでも相談に行って欲しいとの事だったのでAは了承し電話を切った

『よし、行こう』

少し不安は取り除かれたAだったが、交番ではなく警視庁となるとよっぽどの犯罪じゃ無いと相談なんてダメなんじゃ無いか、等と考えを巡らせていたからか
ホテルを出てから目的地までの道のりはとても長く感じられた

見上げれば首が痛くなる程の建物に着いて、生活安全課を訪ね高木さんをと伝えるA
通されたスペースの椅子に座り待っているとグレーのスーツに身を包んだ好青年という言葉がよく似合う20代中盤程の男が現れた

「はじめまして、高木です。竹中の方からも少しお話は伺ってます、大変でしたね。」

『あ…ありがとうございます。』

優しく微笑みながら話を進める高木に、ここに来るまでの道中の不安はほとんど無くなっていたAは申し訳なさそうに、それでも嫌悪感を含めて今まであった事を丁寧に説明し始める

「それじゃあ今はホテル暮らしで？」

『はい、中村さん…その竹中さんのお知り合いのツテで引っ越し先も決まったのでそちらに近々引っ越すとは思うのですが、やっぱり東京に来て1番最初に住みはじめた家が気に入っていて…全部が解決したら戻りたいなと思っています。』

「うん、お話を伺ったところホテルの方に事情を聞いた方が良さそうなのでちゃんとお調べ致します。解決するように尽力させてもらいますが
ただ、実害がこれ以上無いとは言い切れないのでくれぐれも人気のない所に行かないで、1人で行動は出来るだけしないで下さいね？」

『はい、その辺は大丈夫だと思います！』

急に自信満々に答えるAに高木はまた微笑みを強める
Aは今日ここに来たのも人通りが多い道を通ってきた事だけは確かだった

ただ東京に来てほとんど家に居たAには人通りが少ない場所を探す方が難しいだけなのだが