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『頭痛い…』
翌朝目が覚めると体の気怠さと頭の痛さで昨日の自分を恨んだ
重たい体をゆっくりと起こして小さな冷蔵庫から水を取り出して飲むーーと同時にスマホが鳴った
一瞬ドキリと嫌な跳ね方をする心臓を落ち着かせながらディスプレイを見る
『……』
昨日かかってきた元カレだろうなと直感でそう思った、登録もしていないし番号もちゃんと覚えてはないけれどきっとそう
『もしもし』
「あー…大丈夫か?」
『何が?』
「その…Aが無事かどうか…心配で」
『私があいつに捕まろうが何されようが関係ないでしょ?今更心配なんてやめて…もうかけてこないで』
「あぁ…分かった、ごめん…でも」
相手が何かを言い終える前に通話を切った
まだちゃんと働かない頭で、それでもはっきりと拒絶の言葉を並べる
あんなに愛してた人だったのにあれからそんなに月日が経った訳でもないのに
自分がとても嫌な奴みたいに思えた
『もうなんか…良いかな…あの家に帰りたい…』
ここは地元じゃない、家がバレてるのは怖いけれど、戸締りはちゃんとして近くの交番に相談したら良いや
『別に死ぬ訳じゃないしね』
極論を持ち出して、当分縁側でゆっくり出来ないのは残念だけどーーまたいつかほとぼりが冷めたら、と奮い立たせる
『もう逃げるのは嫌…』
中村さんに会えなくなるのも、嫌
何て考えて顔が熱くなる
きっと昨日のあの言葉で変に意識してるだけだと思い込ませて、持ってきた荷物から着替えを取り出してそのままシャワーだけ浴びてホテルを出た
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作者名:村民 | 作成日時:2023年2月17日 17時