縁側の幸せ

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今日は仕事の日、朝起きて熱も下がっていたから仕事は行く事にした
ゆっくり準備をして家を出る


『おはようございます』


仕事場の人達に挨拶をして、それぞれの持ち場へと向かう

私の場合、いつもはビル内の色んな所を行き来するから持ち場という明確な物は存在しないけど、今日は明日からお盆でビル内も人が少なくなるから非常階段等の水洗いとワックス掛けをするらしい


慣れない機械を操りながらなんとか水洗いを済ませて、ワックス掛けをしていると声をかけられる



「どーも、久しぶりです」


『あ…お久しぶりです。菅田さん』


「ツナギめっちゃ似合ってますね、お疲れ様です。ほんじゃ、また」


『あ、お疲れ様です』



軽い挨拶だけのために声をかけてくれる…菅田さん凄い
このビル内で働いて気付いたけど、東京って意外と優しい人が多い
私の地元なんかよりずっと…優しい


程よい距離感だから思うのかもなぁ、と自分の踏み込めなさに少し落ち込んだけど
中村さんはどうなんだろう…自分では心開けてるかなぁ


それから数時間、仕事を終わらせて着替えた
ビルの1階まで降りて明日からの事を考えながら家へと向かう
今日は散歩したい気分だから、電車は使わない


お盆休み6連休…6日も何しよう
旅行は面倒だし
かと言って東京はどこも人混み凄いだろうな
里帰り、は1番有り得ない


『やっぱり家かなぁ、あのDVD全部見たいし』



「どのDVD？」


『ぅわっ！！あ、菅田さん？』


「びっくりしすぎでしょ、ブツブツ言いながら歩いてはるから気になって」


『明日からお盆休みなんですけど、6日も何しようかと思いまして』


「6日も！？えぇなぁ。里帰りは？」


『いや、里帰りはちょっと…家でDVD見て過ごします。この前沢山買ったので』


「そっかぁ、夏楽しんで！じゃあ、また」



菅田さんはそのまま近くに停めてあった車の後部座席に乗り込んで行った
神出鬼没と言うか…突然現れるからびっくりする


『地元に帰らないの、変に思われたかな』


まぁいっか、と顔を上げると丁度カフェがある。たまには1人でカフェご飯、なんて思って近付くと店内は人で溢れていた


人混みでご飯を食べる気分ではなくて、家に帰って自分で作る事に決めた。


帰ってお昼ご飯を作りDVDをかけながら食べる。感情移入して食べながら泣かないように今日はコメディドラマを選んだ


あの中村さんはテレビの中にいると、やっぱり別人みたいだった

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