25話 ページ27
あ)「…つまり、ここにとべと？」
この手の感じは、知ってる。
ここを紹介してもらう時と同じだ。
乱)「…あの人、何者…？」
鶴)「お？ここに何か…」
本棚と思ってたのは。
ただの壁紙で、しかも椅子の後ろは空洞になっていた。
あ)「…何でもアリか」
だけど、まぁ。
教えてくれたのなら、ありがたく行こうじゃないか。
あ)「えぇい！いざ行かん！」
またあの気持ち悪い感覚に呑まれた。
あ)「…普通の本丸、じゃない？」
来た場所は、いたって平和そうな場所。
正規ルートで中に入れてもらった。
目の前の審神者さんは、杏奈さんと言うらしい。
ニコニコと優しそうな笑顔で、私達にお茶を出してくれた。
「主ぃ〜、お客さんー？」
「主君！また鶴丸さんが悪さしておりま…あれ？」
杏)「清光、前田、今はお客様がいるからシーね？…鶴丸には後で叱っておきます」
目の前の人とこの付喪神は随分と仲が良いらしい。
はーい、と。
元気よく返事をして行ってしまった。
ピトッと、乱がくっついて来た。
…あぁ、そうか。
羨ましいんだろうなぁ。
杏)「ごめんなさいね…そちらの鶴丸は随分と大人しくて…」
あ)「あははー、そうなんですよ〜」
バカ。
違うでしょーが、私！
杏)「えっと、要件って…？」
しめた。
話題を振ってくれるなんてありがたい。
あ)「あの！ここに一振送られてきませんでしたか？」
これは一縷の望みだ。
黒さんの情報が正しいとは限らない。
杏)「……貴方達は、その一振とどのような関係で？」
鶴)「元仲間なんだ！会わせてほしい…」
異常なくいつきっぷりに、杏奈さんも目を丸くする。
それから、何処と無くきつい目を…？
杏)「お引き取り願いますか？」
勘違いじゃなかったらしい。
軽蔑するような目で私達を見下ろし、玄関を指差す。
乱)「…全然キャラ違うし」
杏)「あの子は、傷ついてました…。それなのに、今更…っ帰って！帰ってよ！」
ハラハラと目から涙が溢れる。
それをただ、見つめる事しかできなかった。
あ)「…一目でいいんです。合わさせていただけませんか？」
杏)「嫌よ！また、いじめるんでしょう…？」
あぁ、もう。
鶴丸を傷つけないでってば。
あ)「…どうか、お願いします」
鶴)「A！！」
乱)「ちょっと！！」
頭を畳みに抉りつける。
いいよって言われるまで顔を上げつやらないんだから。
さっきの悲鳴を聞いて駆けつけた刀剣男士達が集まってきた。
しばらくして、ため息が聞えた。
杏)「……山姥切国広」
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作者名：なーこ | 作成日時：2017年3月6日 17時
