23話 ページ25
乱)「いきなり、何！？」
カメラって言っても、チェキだ。
とったらすぐ出てくる。
あ)「んー、そろそろかなぁ〜」
鶴)「ん？おっ、中々いいじゃないか」
出てきた写真を二振が覗く。
乱)「やだー！ボク、もっと可愛いく写りたい！もう一回！もう一回とってよ！」
あ)「えー」
鶴)「今度は俺に撮らせてくれ！」
鶴丸がチェキを取り上げる。
慣れた乱君が笑顔でピースする。
鶴)「いいんじゃないか？」
出てきたのは、私も乱君も笑ってる写真。
あ)「これを、こーして…」
空いてる余白に、マジックペンで書きこむ。
”○月×日、今日から二振と”
”二度目の乱、いい笑顔”
乱)「…乱…」
あ)「そ。もー君づけ疲れたもん。改めて、よろしく。乱！」
乱)「…っ。しょうがないなぁ…」
乱は、今日一番のいい笑顔で笑った。
泣きそうな笑い顔。
悲しいじゃなくて、嬉しい方の。
それを玄関に飾る。
我ながら、いいかもしれない。
あ)「これから、増やしてこうね！」
あ)「…寝れないの？鶴丸」
鶴)「ん？まぁな」
夜。
私の襖が空いた。
立ってたのは、鶴丸。
鶴)「…もし、俺らが審神者にならなかったら。…どうなってたんだろうな」
サッシに腰掛け、空を見上げる。
そんなの…
あ)「楽しく暮らしてたんじゃない？…乱がこうなってるのも知らずに、のうのうと」
幸せを噛み締めて、いきていた。
誰かの幸せを踏み台にして。
鶴)「これで、よかったんだよな」
あ)「…何を後悔してるわけ？」
鶴)「後悔じゃない。…後悔しないように、考えてただけだ」
鶴丸は、案外臆病者だ。
臆病者で…寂しがり屋だ。
あ)「こっちにおいでよ、鶴丸」
彼の目が、私を捉える。
そのまま数秒見つめ合い、布団に入ってくる。
あ)「あのね、後悔しない道はないし、正解とかないよ。今日だって、いつか間違いだと思う時が来るかもしれない」
先の事は、誰だってわからない。
だけど、言える。
あ)「今、楽しければいいじゃん。何も怖がる事は、ない。それに、さ」
鶴)「それに？」
あ)「どっちにしろ、私と鶴丸は一緒にいるって事」
鶴)「…ふっ。それもそうだなぁ。ははっ。俺らしくなかったな」
あ)「うぬ」
鶴丸は天井を見つめ、そのまま目を瞑った。
何を考えてるかなんて、わからない。
けど、楽しい事だといい。
乱)「…仲間はずれは、酷いんじゃない？」
スパンッと勢いよく襖があき、枕をもった乱が潜り込んできた。
狭い、なんて。
文句を言いながらも、その顔は皆笑顔だった。
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作者名：なーこ | 作成日時：2017年3月6日 17時
