鶴の鳴き声 (ページ16)

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14話ページ16

「そうですか」
次の日。
男の人は朝にやってきた。

昨日は十分、鶴丸とここの生活や、おばあちゃんの事を話した。

あ)「だけど、条件があります」
一か八か。
言ってみるだけ損はないだろう。

「…なんでしょうか」

あ)「一つ。…新しい場所に、鶴丸を連れてく事」
後から”ダメ”と言われたら嫌だから。
先に、手を打つ。

あ)「もう一つは…鶴丸の元仲間…5振りを探す事」
何処で何をしてるのか。
幸せなら、それでいいらしい。

だけど、苦しんでるなら…
助けてあげたい。

「…わかりました」
鶴丸と目が合い、笑い合う。

「ですが」
笑いあったまま、固まる。
…何。

「私共も”個人情報”をお渡しできません。ですから、元あった本丸の場所を、お教えいたします」

あ)「…それでも、いいです」
ないよりは、マシだ。
何かしら、手がかりがあるだろう。

「では。鶴丸国永が”初期刀と言う事でよろしいですね」

あ)「はい」
初期刀、とか。
正直わからない。

が、とりあえず頷いておく。
一緒にいられるのなら、いい。

「では、支度をしてください。一時間後にでます」
男の人は、そう言い捨て、言ってしまった。

あ)「…鶴丸。絶対探しだそうね」

鶴)「あぁ。すまない」
一時間後、玄関に集合するべく、分かれた。

「それでは、出発いたします」
真っ黒い車に乗り込み、荷物も詰める。
家具は、後日、らしい。

「Aさまは真名でございますね？」

あ)「あ、はい」

「次の場所では、一切口に出さないでいただきたい」

あ)「…何故？」

「神隠しされたいのです？」
神隠し。
聞いた事は、ある。

神様のイタズラで、人の子をさらい、隠してしまう事だ。

あ)「じゃあ、名前は…？」

「偽名を名乗ってください」
偽名、か。

あ)「…わかりました」
でも、鶴丸知ってるよね？
ちらっと、鶴丸を見れば、シーッと口に手を当てていた。

「では、審神者の仕事内容、生活に当たる注意などを話します」

あ)「あ、あの！」

「…はい」
ミラー越しに、私をみてくる男の人。

あ)「貴方の、名前は…？」
よく考えてみれば、彼が何者かも知らない。

「…失礼いたしました。私、政府のものでございます」

あ)「せい、ふ…？」
…って事は、国の人？

「はい。それから、私の事は”黒”とでもお呼びください」

あ)「黒？」

黒)「はい。貴方の、担当ですので。何かあれば私に言ってください」
車に揺られる中、これからの話を聞いた。
…大丈夫。

なんとか、なる。