12話 ページ14
鶴)「…っクソッ」
男の人は帰っていった。
明日の朝までに、決めなきゃ…。
鶴)「なぁ、今からでも結界を貼ろうじゃないか」
あ)「…そんな事したら、鶴丸が処分されちゃう…」
そう言う約束で、一日待ってくれるらしい。
あ)「…あの人は、何？鶴丸は知ってるみたいだったけど」
鶴)「…まぁ」
歯切れが、悪い。
が、もう誤魔化してる場合じゃなくなった。
あ)「鶴丸、ちゃんと話そう。じゃないと…私はどうしたらいいか…」
わからない。
もし、おばあちゃんだったら、どうしただろうか。
鶴丸か、御堂か。
二つに一つなのだ。
鶴)「…俺は元々”主”と呼ばれる人がいた」
鶴丸は、遠い目をしながら、話し始めた。
その手はギュッと握りしめ、まるで何かに耐えてるようだった。
鶴)「そいつは、世辞にも”良い主”とは言えなかった。俺たちを痛ぶる事に躊躇がなかった」
主…主従関係を結んでいたって事？
鶴)「仲間が傷つき、減っていく日々。…それでも代わりがいる俺たちはまた、新しく生み出された」
代わり？
確か、鶴丸は刀の付喪神だったよね。
そんなに何回も生まれ変われるものなの？
鶴)「…等々、そいつは折った仲間をそのままにし始めた。そんな中、俺は…あるヘマをしたんだ。…主を、怒らせた」
鶴丸は、深くため息をつき、震える。
鶴)「…っ折られる。そう覚悟した。…っ…が、光忠が…っ仲間が。俺を逃してくれたんだ」
その後、おばあちゃんと出会い、今に至るらしい。
その仲間の行方は知らず。
…はずだった。
が、さっきの男が言ってた。
”5振りを残して全滅した”と。
鶴)「俺は…っ出来る事なら…謝りたい。5振り残ってるのなら、会いたい」
鶴丸が、顔を覆った。
ツーッと涙が垂れるのを、みた。
鶴)「が、俺はウメに恩がある。返し切れない程の恩が」
…どうするべきだろう。
鶴丸に、触れてもいいのだろうか。
出来る事なら、抱きしめてあげたい。
おばあちゃんが、私にやってくれたように。
伸ばしかけた手を引っ込め、代わりに背中を撫でる。
私は、何も声をかけない。
ひたすら、撫で続けた。
鶴丸の鼻のすする音が、静かに響いた。
……会わせて、あげたい。
最後に、おばあちゃんは言ってた。
”鶴丸をお願い”と。
ねぇ、おばあちゃん。
私、鶴丸に協力してあげたい。
だって。
鶴丸とおばあちゃんと過ごした数ヶ月は、どれも楽しかったから。
辛い時、鶴丸に助けられたから。
…当主を任されたのに。
放棄して、ごめんなさい。
私は…
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作者名：なーこ | 作成日時：2017年3月6日 17時
