40話 貴方side ページ10
いった…。
何、これ。
頭ガンガンする。
それから、胃がぐるぐるして気持ちが悪い。
今何時だろ…。
手を伸ばせば、四角く冷たい物に当たった。
それを手繰り寄せ、電源をつける。
時刻は、5時少し過ぎ。
時間と一緒に目に入ったのは、ちーからのLIMEで。
瞬間、昨日の記憶が蘇ってきた。
あ)「うっわ……あーー」
自分の顔から、血の気が引いたのがわかった。
最悪だ。
恥ずかしいやら、怖いやらで嫌になる。
戻りたい。切実に。
とりあえず連絡しようと思い、ちーの画面を開いて、やめた。
そのまま閉じて、携帯を置く。
こんな時間に連絡するなんて、よくないよね。
これ以上怒らせたくない。
ってか、絶対呆れてる。
あんな、みすぼらしい姿晒して、…ついでに醜態も晒した。
昔のちーだったら、今すぐ縁切られてたかも。
いやもうすでに切られてたり…?
あ)「あー!本当バカ!」
ボスっと、意味なく布団を殴ってみる。
昔見た恋愛ドラマでみたような事を今、まさか自分がやるだなんて思わなかった。
全部が恥ずかしい。
どうしよう、なんて考えてるうちにもう一度眠りについた。
起きたら味噌汁でも作ろうかなぁ。
二度寝から目がさめると、昼時だった。
何時間寝てたわけ…?
さっきより体調はマシになった。
気持ち悪いってより、ムカムカしてるお腹から、ご飯の催促をされる。
仕方がないから、ご飯でも作ろうと、台所に立った。
あ)「ひっ…!」
びっくりした。
びっくりした勢いで、そのまま尻もちをついた。
「…そんなに、驚く事?」
あ)「え、え…?なんで…?」
「最近、会えてなかったから。…これ、全部君が開けたの?」
あ)「ま、さとさん…」
夢でも見てるのかも。
きっと、そう。
だって。
連絡もたどたどしかった彼が今、私の家のソファーに座ってるわけがない。
いつものキチッと分けられた髪ではなく。
私が好きな、くしゃっとなった髪で、少し堅苦しい格好をした雅人さんがそこにいた。
西)「なに?」
あ、やばい。
…泣きそう。
少し首を傾け、柔らかく笑った。
どうしよう。
私、この人がすごく、すごく好きだ。
もう浮気しててもいい。
私の隣に居てくれるのなら。
この笑顔で、ずっと。
側にいてくれないかなぁ、この人。
あ)「…会いたかった」
西)「……ごめん、忙しくて」
私は彼の前に立った。
あ)「好き」
西)「どうしたの?」
あ)「すごく、好き」
雅人さんは困ったように笑って、それから私を引き寄せ抱きしめた。
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作者名:なーこ | 作成日時:2019年1月17日 22時