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57話 貴方side ページ27

少々出来心で、頬をつついてみた。
シミもニキビもない、綺麗な肌。

あ)「羨ましい」

ムギュッと。
鼻をつまんでみた。

至)「…ゔっ…」

あ)「わ!」

ちーが顔をしかめたから、反動で尻餅をついた。
…びっっくりした。

心臓に悪いなぁ、本当!
私が悪いんだけど。

そうこうして、ちーが目覚めた。
ここまで運んだ経緯だとか、カフェでの事だとか。

話していくうちに、少しずつ噛み合わなくなってきた。
…ん?

私は、ちーに謝らせたかったんじゃなくて。
もちろん、反省なんてしてほしかったんじゃないし。

たた、言ってみたかったのだ。
もうできやしない事を。

わがままだけど、分かってくれれば良かったっていうか、うん、分かっててほしかっただけ。
共感も謝罪もいらないから、知ってて欲しかっただけ。

それを、わがままって言うんだと思う。けど。
あぁ、失敗したなぁ、と思った。

ちーの、怪訝な表情を見て。
試すような会話はやめとけば良かった。

ベッドに上がり、正座で話しながら思う。
…この気持ちを言葉に表すのは難しいから。

あ)「ごめん!ちょっと余計な事いった。こめんなさい」

めんどくさくて、放り投げた。
そのまま、頭を下げて土下座みたいになる。

至)「はぁ?待って、津野崎やめて」

自分では説明つかない事を、他人に説明できるわけない。

至)「津野崎?おーい、聞いてます?」

あーあ。
今日はやっぱりついてない。

至)「A」

ちーの。
独特な声が、私の名前を呼んだ。

顔に熱が集まりそうなのを何とか抑え、平常を保つ。
…この人。

わかってる?自分の攻撃力に。
貴方が思ってるよりもずっと、名前で呼ばれる事は破壊力があるんだって事。

至)「あ、やっと顔上げた。悪いけど、いまの話よく分からなかった」

あ)「あー、うん。それ、忘れていいよ、今のなし」

至)「何で?」

あ)「何で、って言われても…」

どうしよう。
こう言ったらあれだけど、…めんどくさい。

もうこの話やめたい。

あ)「それ程重要じゃないから」

至)「それ、先に言ってよ…」

だからごめんって言ってるのに。
ちーは、考えすぎたじゃん、とか言ってまたベッドに横たわった。

至)「で、もういいの?」

あ)「何が?」

至)「西崎さん」

あ)「あー、うん。まぁ。…追いかけてくれもしない、弁解一つしない彼に、これ以上期待してもね」

コーヒー、呑むかな。
何か飲みものを取るべく、ベッドから降りようとした。

至)「へぇ、じゃあ俺たち今フリーだね」

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作者名:なーこ | 作成日時:2019年1月17日 22時

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