52話 ページ22
開いてみると、随分前からLIMEがきてて。
今のは新しく来たものだった。
至)「…は？」
津野崎無事着いた?
津野崎慰めてくれて、ありがと
津野崎今日、雅人さんと会ってくる
至)「…まじか」
タクシーで、必死にスマホを眺めてたし。
まぁいつかは会うとは思ってたけど。
…まさか、今日だとは思わなかった。
昨日の今日で、整理できたわけ、あいつ。
至大丈夫?
至展開早すぎ
津野崎ちゃんとしようと思って。多分、大丈夫
ニ)「なぁに、たるたる。不倫したの〜？」
至)「してない。ってか、勝手にみないでくれる」
ニ)「え〜〜？」
面白がるニナを置いといて。
津野崎が本当に大丈夫かが問題だ。
ボフッと音がして。
ニナがもう一度ベッドに座った。
…あー、やばい。
体がだるい。
ニ)「たるたるがそんなに心配しなくてもさぁ〜、結局本人同士の問題だよー。友達思いだねぇ」
今、友達って言葉だけわざと強調して言ったよね。
…本当、いい性格してる。
確かにそうだけど。
俺たちはただの友達で、津野崎は彼氏と話すだけ。
それだけだし、それ以上も以下もない。
だけど。
俺は昨日、放心した津野崎を見てるから。
ぼんやりしながら泣いてるあいつを見てるから。
心配になるし、ほっとけない。
問題は。
俺が首を突っ込んでダメそうって事。
あー、もどかしい。
至)「…死にそう」
考えたら考えた分だけ、きっちり気持ち悪くなってきた。
寒気が止まらないし、変な汗だってかいてきた。
一旦ベッドに体を戻す。
はぁ、しんどい。
ニ)「至、大人になったねぇ」
言葉が降ってきた。
俺より5も下の女の子が、俺よりも年上のような口ぶりで言った。
至)「随分前から大人だけど」
ニ)「んーと、見た目じゃなくてね？…物分かりが良くなったなぁって、思ったの」
…あぁ、成る程。
って、何。
人をわがままなみたいな言い方して。
怠くて口に出せない分、全部顔に出した。
ニナはそれを察したらしく。
今度はにっこり笑って、言った。
ニ)「私の時は、しつこかったのにねぇ〜」
しつこかった。
は、案外ズシッと響くものがあるもので。
うん、普通に傷ついた。
しつこいのは知ってたけど、実際に言われる前までは見ないようにしてた。
…だからこそ、控えてるんだけど。
あなたの前科があるから。
ニ)「だけど」
ニナは俺の額を触り、言った。
ニ)「言うほど嫌じゃなかったよ」
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作者名：なーこ | 作成日時：2019年1月17日 22時
