47話 ページ17
こんな時、どうするのか正確なのか。
恋人でもなければ、津野崎を好きなわけでもない。
友達の俺はどこまで手を出していいわけ？
泣きながら吐き出す恨みや悲しみを、俺は受け止められないでいる。
うん、そうだね、と。
聞く事しか、聞き流すことしかできない。
でも。
泣いてる彼女が、可哀想で見てられない。
って名目で、抱きしめていいかなぁなんて考えてる。
これ、ギュってしたらアウト？
これだから、男女の友情って面倒くさいんだよね。
あ)「〜〜…っちぃ…っ辛いよぉ…っ」
津野崎はボロッボロに泣いた顔で。
お世辞にも可愛いとは言えない顔で、俺を呼んだ。
不覚にも、そんな彼女が。
弱々しい彼女が可愛いと、ときめいてしまった。
あーもう。
知らないから、本当。
お前が俺にすがったのが悪い。
何も考えず、津野崎を抱きしめた。
冷たい体が、余計に俺の胸を締め付ける。
少しでもあったかくなればいいなって思って、強く抱きしめた。
ゆっくりと、背中に回された感触。
決して強くない、だけど縋るように回された腕に、なんかもう、たまらなくなった。
頭がクラクラするし、うっすら寒気がする。
多分、風邪でも引く前兆だろう。
俺は今、風邪で正常な判断が出来ない。
うん、この感情はきっと風邪のせいだね。
少しずつ、腕の力を緩めた。
津野崎は気にせず俺にしがみついたまま離れない。
そんな彼女の肩に触れ、少しだけ距離をとった。
あ)「ちー…？」
涙で濡れたぐしゃぐしゃな顔が、俺を見上げた。
至)「…ごめん」
俺はそう言って、津野崎にキスをした。
頬も冷たいのに、唇だけは妙に温かくて。
その柔らかい小さな口に、優しく触れた。
ピクッと彼女の肩が揺れた。
それでも拒まれないあたり、よかったと思うべきか。
それとも拒まれた方がよかったのか。
頭が働かない今、どっちが正しいのかわからない。
今度は彼女を引き寄せ、腰と頭に手を回した。
彼女は俺を抱きしめ返さなかったけど。
潤んだ瞳は少し、期待してるようにも見えた。
もう、いいや。
なんでもいい。
今津野崎が泣き止めばいい。
俺との行為であれが忘れたらいいのに。
もう一度唇を重ね、先程より深くしてみた。
あ)「…っ」
それから何度も、何度も何度も。
角度を変えて深く、激しく交えた。
津野崎も途中からは俺に合わせて唇を動かすから。
ようやく離れた時には、お互い息が切れていた。
気づけば雨も上がり、夜も更けてきて。
俺達はどちらともなく立ち上がった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なーこ | 作成日時：2019年1月17日 22時
