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32話 ページ2

あれから数日経ったけど。
津野崎からは音沙汰なし。

俺が深くつっこめる話でもなさそうだし、触れていいのかも分からないから、どうすることもできない。

どうこう悩んでる内に、2人が帰ってきた。

咲)「ニナ?!お帰りなさい!」

ニ)「ただいま〜」

それは皆揃って夕飯を食べてる時だった。
大きなキャリーは十座が引っ張り、ニナは自分の鞄と手荷物を持つ。

空いた手は、お互いの指が絡み合っていた。
…だろうね。

それをチラリと盗み見し、それから視線を食事に戻した。

元気がいい夏組はもれなく全員が天馬の肩を叩きながら、ニナの元へと向かって行った。
痛ぇっと喚く天馬も、どこか嬉しそうで。

流石、夏組。

卯)「…ふっ」

至)「…何ですか、先輩。鼻で笑うなんて」

隣に座る先輩を見ると、ニヤニヤと人の悪そうな顔を浮かべながらこっちを見ていた。

卯)「お前にもやってやろうか?」

至)「全く嬉しくないんですけど」

つまり。
俺が天馬達を見てるのを見て、笑ったんだろう。

…相変わらず、人が悪い。

卯)「へぇ?お前は行かなくていいのか?」

至)「俺だけじゃないですし」

左京さんや冬組は皆席を立とうとしない。
ニナに群がる年下組を、微笑ましく見ているだけだ。

まぁ歳も歳だし。
…おっと、左京さんに睨まれた。

ニ)「これが九ちゃんで〜これが太ちゃん」

早速お土産を配り始めるニナと、嬉しそうに順番待ちをする太一に咲也。

皇)「で?ニナ、お前報告する事あるんじゃないのか?」

天馬の言葉で、皆に緊張が走る。
…えぇ…いいんですか聞いても。

ニナはきょとんとした顔で天馬を見て。
それからあぁ、と笑った。

ニ)「えーっと。…私、留学しようと思ってるの」

至)「は?」

これには、俺だけじゃなくて皆声が出た。
俺達が報告しろって言ったのは、それじゃないんですけど?

皇)「…決めたのか」

万)「は?お前、知ってたのか?」

皇)「まぁな。ニナの所属はウチの会社だろ。必然的にな」

咲)「…そっかぁ、決めたんだね」

太)「へ、サックンも知ってたんスか!?」

咲)「う、うん。…もうずっと、悩んでたよね」

…何、それ。
俺は何も知らなかった。

聞かされなかったし、相談もしてくれなかった。
つまり、そう言う事。

至)「…はは」

卯)「何、敗北した?」

至)「あー、完敗しました」

だからといって、ニナがどうでもよくなるわけじゃなくて。
あぁ、俺この娘が好きだったなぁって思うだけ。

だから、何も変わらない。

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作者名:なーこ | 作成日時:2019年1月17日 22時

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