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31話 ページ1

津野崎は泣かなかった。
声は震えてたし、顔色は悪かったけど。

絶対に泣かなかった。

あ)「…ごめん、ちー………今日はちょっと…」

至)「ん。いいよ。それより一人で帰れそう?」

あ)「大丈夫。…ごめん、また」

カフェを出て、津野崎を見送った。
また、と行ったっきり振り返る事なく不安げな足取りで帰ってく津野崎に、ただただ心配になるだけだった。

大丈夫かな、あいつ。
あれはやっぱり、そう言う事なんだよね。

西崎さんもやるな。
真面目なお堅い人だと思ってたけど。

それにしてもなー。
世間って狭すぎでしょ。

もっと、上手くやればいいのに。
あんな中途半端になるぐらいなら、最初から浮気なんてやるなよ。

椋)「あれ?至さん?」

至)「椋?」

椋)「偶然ですね!今からどっか行かれるんですか?」

至)「違う違う。今から帰る所。椋は?」

椋)「僕もです!へへ、一緒に帰るなんてラッキーですね」

ニコニコと笑う椋は、絶対に浮気なんてしないんだろうね。
そう言えば前に、女の子と二人で歩いてる所を見た事がある。

あの時の椋はいつもより男らしかった。

至)「ねぇ、椋。浮気する男ってどう思う?」

椋)「う、浮気、ですか…?…うーん、やっぱり最低なんじゃないですかね…?」

至)「だよね」

椋)「その人とお付き合いをするって事は、その人を好きになったからですよね。なのに他に手を出すなんて、女の子を悲しませるのは悪い事です」

至)「…だよねー。そう思うわ」

椋)「やっぱり王子様って、お姫様しかみてないですから!」

成る程、メルヘンな椋らしい答えだと思った。
でも本当にそうだ。

仕方なく付き合う奴なんていない。
なのに大切に出来ないのは、何故か。

…贅沢だよね、本当。
俺は好きな奴と、ニナと付き合えたら絶対目移りなんてしないのに。

ま、それももう夢物語なんですけどね。

至)「ね、椋から見て、俺に似合うと思う人ってどんな感じ?」

椋はうーん、と言って真剣に考えてくれた。

椋)「至さんは、自然体でいられる人が似合うと思います。至さんを理解してくれて、受け入れてくれる人」

自然体、か。

至)「成る程。椋は…世話焼かせる子とか合いそう」

椋)「えぇ!?」

椋があたふたし始めて、やっぱ青いわ〜と思った。



その夜、大丈夫?と津野崎にLIMEを送ったが、返信は返ってこなかった。
久しぶりに万里を誘って夜通しゲームして。

朝方携帯を見ると、40分前に返事が来てた。

A平気


…嘘でしょ。

32話→



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作者名:なーこ | 作成日時:2019年1月17日 22時

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