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9話 ページ10

あ)「ちー、それじゃない」

至)「は?そんな訳ないでしょ」

夏休みに入る頃には、ちーと呼ばれるようになり。
お互いな遠慮なんてなくなった。

その反面、揶揄いも増える。
それは俺だけでなく、津野崎も揶揄われるようになった。

「お前、茅ヶ崎と仲良いじゃねーか。付き合ってんのかー?」

「毎日一緒にいるもんなぁ?」

「あんな奴の何処がいいんだよー」

ニヤニヤと意地の悪い目が、俺と津野崎を交互にみる。
思わず、目をそらした。

その横で、津野崎はハッキリ答える。

あ)「付き合ってないよ。ちー、面白い奴だし」

「ちーぃ?可愛い愛称じゃねーか」

ゲラゲラと笑う声に、耐えられなくなる。
やめろよ、そいつに刃向かうなって。

俺を見る目が、ただのおふざけじゃない奴もいた。
きつく睨んでくる目に、何も感じないほど鈍くない。

押し負けて、出て行こうとした時。

あ)「あのさ、今ちーと話してるから。吉田達とは後で遊んであげる」

ピシリ、と。
空気が固まったのが分かった。

ゆっくり振り返ると、うんざりした顔の津野崎が見えた。
その前で口をパクパクさせ、顔を真っ赤にする姿は、まるでコイのようだった。

はっ、うける。

あ)「ちーも、どっか行かなくていいから」

津野崎は俺に座るよう指示し。
その姿に圧倒され、俺も黙って座った。

至)「…はい」

…何こいつ、かっこいいじゃん。

あ)「あ、吉田」

「な、なんだよ」

あ)「りおの事好きって本当?」

あ、死んだ。



それから運動部の奴らは、津野崎がいると俺にちょっかいかけてこなくなった。
そんなこんなで夏休みになり、その大半を津野崎と過ごした。

明けても暮れてもゲーム三昧に、心の底から楽しいと思っていた。

3度目の春が来た。
隣に座る津野崎を、もう当たり前のことだと受け入れている自分がいた。

ささやかだけど、会話するクラスメートは前より確実増えたし。
それが煩わしくも、少し嬉しかった。

三年からはゲームだけじゃなく、勉強をし始めて。
俺達は同じ高校を目指していた。

そろそろ、本腰を入れて勉強しようって時に。
…津野崎は居なくなった。

紅葉が綺麗な、秋の日に。
あいつは転校していった。



至)「…唐突な奴だな」

いきなり現れて、結婚するかもだなんて。
…どう反応すればいいんだっての。

ニ)「あれ、たるたるー?」

至)「…ニナ?」

ニ)「中、入らないの?」

言われてようやく、俺は寮についていた事に気づく。

至)「…あぁ、うん。入るよ」

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なーこ(プロフ) - まるさん» 見落としてました…。すみません、気をつけます (2018年10月9日 12時) (レス) id: bce89ec21f (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年10月9日 11時) (レス) id: 07f23207a7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なーこ | 作成日時:2018年10月9日 9時

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