3話 ページ4
至)「…久しぶり」
「やっぱり、ちーだ」
それからふんわりと笑い、俺は少し見惚れていた。
あの頃とは違い、随分綺麗になっていた。
「茅ヶ崎？…知り合いかな？」
至)「あぁ、はい、まぁ」
知り合い、でいいんだよな？
確認するように視線を這わせれば、彼女は理解したように頷いた。
「はじめまして。津野崎Aです。ちー…茅ヶ崎さんとは、中学の頃の同級生です」
「…中学？」
先輩は、複雑そうな顔で俺を見た。
やだな、そんな顔しないで下さいよ。
至)「…唯一、話してた奴です」
「…成る程ね。…初めまして。茅ヶ崎と同じ会社で働く、卯月千景です」
「ゔぅ…」
津野崎と先輩が軽く会釈していたら、トイレから呻き声が聞こえてきた。
あ)「入野さん！出てこれそう？」
至)「俺達もう行くね」
あ)「あ、待って。連絡先、交換しない？」
至)「…いいけど」
あ)「あ、今携帯無いんだった…ごめん、ちー。悪いけど携帯番号教えて」
面倒くさいなぁ、って思う。
でもまぁ、一度了承したし。
鞄から紙とペンを取り出し、番号を書いた。
それを津野崎に渡すと、ありがとうと笑った。
あ)「ごめん。また連絡する」
至)「ん。わかった」
あ)「会えてよかった」
その言葉に反応する事なく、短い挨拶と共に店を出た。
…相変わらずだなぁって思う。
顔は変わっても、性格は変わってない。
至)「…先輩、そのニヤニヤやめてもらえます？」
卯)「あの茅ヶ崎が番号教えるとはね」
至)「彼奴になら、いいかなって」
卯)「へぇ？」
不思議そうに、だけどやっぱりニヤニヤしながら俺の話を聞いていた。
卯)「そう言えば。酒、抜けたな」
至)「あ」
あのフワフワした感覚は、いつの間にかなくなっていた。
津野崎が、よほど衝撃だったらしい。
…まぁ、吐いたってのもあるけど。
卯)「俺としては楽だから、ありがたいな」
至)「えー、いざとなったらおぶってくれる先輩、優しい」
卯)「じゃあ、遠慮なく捨ててくよ」
至)「いや、そこは遠慮してくださいよ」
少し寒くなってきた道を、先輩と2人で帰る。
たわいのない会話をちょろっと、話す。
頭の中は、今日会った彼女の事を考えていた。
いきなり現れて、消えて。
それからまた、いきなり俺の前に現れた。
あの時も、丁度秋頃だった。
監)「あ、お帰りなさい」
卯)「ただいま」
至)「ただいまー」
監督さんに挨拶し、部屋に入った。
…その日は、津野崎から連絡はこなかった。
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なーこ(プロフ) - まるさん» 見落としてました…。すみません、気をつけます (2018年10月9日 12時) (
レス) id: bce89ec21f (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年10月9日 11時) (レス) id: 07f23207a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なーこ | 作成日時：2018年10月9日 9時
