21話 ページ22
至)「もしかして、ずっと待ってた？」
あ)「んー…」
至)「いいって。時効時効」
あ)「…高校までは、なんとなく。ね」
しつこいよね、と笑いながら話す津野崎に、後悔と罪悪感が募ってく。
勝手に裏切られたと思って、思い出に蓋をして。
待っててくれた津野崎の事を、思い出そうとも。
ましてや、疎ましいとさえ思ってた。
至)「…お前、怒ってないわけ？」
あ)「怒る？なんで？」
時折ゴソゴソと聞こえるのは、寝返りをうってるのだろうか。
電話から、生活音が聞こえて。
その音に耳を傾けながら応えを待つ。
至)「手紙今気づいたし、」
あ)「あぁ」
ばっかだなぁ、と津野崎は楽しそうな声で言った。
あ)「今こうして連絡くれたじゃん。これ、あの時の返事でしょ？」
至)「…ちょろすぎ」
あ)「ははっ。酷い言いようだなぁ」
俺は。
今も昔も友達がいる。
俺を理解して、受け止めてくれる人達がちゃんといる。
今更、実感した。
…帰りたい。
今度は皆のいる寮に帰りたかった。
それと同時に、津野崎に会いたかった。
会って話を聞いて欲しくなった。
全部ぶちまけたくなった。
至)「ねぇ、近いうちにまたご飯行かない？」
あ)「いいね。あ、うち来る？」
至)「…いいの？」
あ)「いいよ。ちーの好きな物、作っとく」
至)「ははっ。お手柔らかに」
明日帰ったら、謝ろう。
皆に謝って、自分の気持ちを素直に話そうかな。
クサくても、イタくても。
ちゃんと話をしよう。
あ)「…おやすみ、ちー。またね」
心地いい声が、俺の耳から全身に回る。
周り廻る。
それはふわふわと、夢心地みたいに気持ちが良かった。
至)「おやすみ」
今度は、今度こそは。
津野崎と会う日を楽しみに待てそうだった。
至)「わ」
「あんた、昨日遅くまで電話してたでしょ」
至)「あー、うん」
「女でしょ」
至)「…そこまで報告しろと？」
朝から良くないものに絡まれた。
わざわざ回避するため時間ずらしたのに。
…バッチリ化粧済みって事は、旧友と会うか男と会うか。
「甘ったるい声にニヤニヤした顔が気持ち悪い。せめてドア閉めろ」
至)「は？俺そんな顔ーー」
「鈍感は犯罪」
スパンと言い切った姉。
…怖。
ってか俺、ニヤニヤしてた…？
至)「ないない」
嫌がらせは無視に限るっと。
至)「…至さんが帰ってきたよー」
いつもより少しだけ、声を潜めて中に入った。
朝10時。
何とも言えない時間に帰宅すると、ソファーの上に誰かいた。
至)「…咲也」
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なーこ(プロフ) - まるさん» 見落としてました…。すみません、気をつけます (2018年10月9日 12時) (
レス) id: bce89ec21f (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年10月9日 11時) (レス) id: 07f23207a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なーこ | 作成日時：2018年10月9日 9時
