16話 ページ17
あ)「あ、そこ右。うん、…ちょっとまって、電話が…」
至)「いいよ、でて」
あ)「ごめん、ありがと。…もしもし？雅人さん？…うん、うん。…………わかった。うん、いいよ。忙しいもんね。………うん……またね」
津野崎は、電話を切ると大きなため息をついた。
あからさまに、落ち込んでる。
至)「…何かあった？」
あ)「彼、仕事でこれなくなったって」
あぁ、なるほど。
津野崎は窓の外を見た。
それから、
あ)「…食べきれないよ」
消え入りそうな声で呟いた。
その姿はいつもより小さく、か弱く見えて。
あの頃のはっきりした津野崎ではなかった。
何故だか俺が、胸が痛くなった。
あ)「ねぇ、ちー。ご飯食べてかない…？」
潤んだ目で、口を半開きにして笑う。
至)「…いいよ」
気づいたら、そう返事していた。
…まぁいいか、帰りたくなかったし。
あ)「ありがとう。…よし、あいつが残念がるぐらい豪華にしてやる！ちー、食べてね！」
至)「…まじか」
程々にお願いしますよっと。
至)「…ギブ。苦しい」
あ)「わ、すごい。ちー、食べれるようになったんだねぇ」
至)「一応これでも成人男性だからね」
あ)「あの頃に比べたらね？」
津野崎の家は、細々としたインテリアがちょこちょこ飾ってあって、"女の子の部屋"って感じだった。
料理だって、美味しかった。
俺がソファーに座り、休憩してると、津野崎は洗い物を始めた。
その様子を、じっと見ていると、津野崎はこっちに気づいて、笑った。
あ)「ちー、今日ほんとは何かあったでしょ」
至)「…」
あ)「ま、そんな日もあるよ」
津野崎は、洗い物をやめると、俺の近くに来て座った。
さっきの可愛い格好じゃなく、部屋のだる着を着ているのに、ちょっとだけ緊張した。
あ)「でもね、ちょっと感謝」
至)「何が？」
あ)「ちーが悪い事起こったから、今日は楽しめたもん。だから、ちょっとだけ感謝」
至)「楽しかった？」
あ)「勿論。そりゃあ、あいつがキャンセルになったのは悲しいし、ムカつくけど。それはそれ、でしょ？」
本当に楽しかったんだろうなって顔で笑ってる。
それが、嬉しかった。
至)「…俺も。ありがとう」
あ)「よかった」
津野崎は立ち上がり、また洗い物の続きをし始めた。
至)「…あのさ」
あ)「ん？」
至)「俺、見合いさせられるかもなんだよね」
あ)「…そっかぁ」
…まぁ、そんなもんか。
あ)「なんか…切ないね」
…あぁ、俺は。
こう言ってほしかったんだ。
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なーこ(プロフ) - まるさん» 見落としてました…。すみません、気をつけます (2018年10月9日 12時) (
レス) id: bce89ec21f (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年10月9日 11時) (レス) id: 07f23207a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なーこ | 作成日時：2018年10月9日 9時
