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12話 ページ13

至)「ニーナちゃん」

ニ)「げっ」

至)「はい、連行〜」

天気が良い休日の昼下がり。
そんな日は決まって、ゲームをする。

至)「今日は共闘の動画を上げようと思ってさー」

ニ)「えー」

至)「ニナが出ると、再生回数上がるんだって。お願いします」

ニ)「…ちょっとだけなら」

至)「しゃぁっ!はい、これ。ニナの仮面ね」

ニ)「…趣味悪ぅ」

ニナはあからさまにやる気がないし、だるそう。
だけど俺は気づかない振りをする。

こうでもしないと、ニナは捕まらない。
ニナは誰より演技が好きだから、休日も稽古をする。

365日、演技の事でいっぱいだから。
たまには息抜き、と言うか休憩だと言って休ませる事にした。

これは俺だけの話に限らず、劇団内の決まりでもある。
たまたま俺はゲームってだけで、例えば紬だったらカフェ巡と称して出かけるし。

幸だったらショッピングだし、咲夜とだったら散歩に行く。
ほかにも、密とだと昼寝してるのを見るし、莇とだとメイク講座だとかなんとか言っていた。

ニナを見かけると、皆適当に誘い出す。
その日姿が見えなければ、出遅れたか、雄三さんの劇団にいるか…。

あぁ、後は。
…十座と二人でいたりする。

昔、ニナの部屋を上がる階段に二人、肩を並べて座っているのを見た。
囁くように話すニナと、それに応える十座は、身を寄せ合いながら笑っていた。

あぁ、これか。
これが"幸せ"って事なんだ、と。

現実を突きつけられたような気がした。
と同時に、苦しくなったし、やるせなくなった。

泣きたいような、そうでもないような。
言葉にできない感情が流れた。

それから、俺は一生ニナの一番になれないんだと悟った。
…のに、今でも諦められないでいる。

こうしてちょっかいをかけては、嫌がられて。
だけどちゃんと付き合ってくれるニナに、俺はまた溺れてく。

25歳、彼女なし。
…しっかりしろよ、俺。

お面を付けたニナを眺め、それから俺は電源を付けた。



至)「こんにちはー、たるちでーす。はい、今日はお客さんを呼んでまーす。こんにちはー」

ニ)「…こんにちはー」

至)「前回の動画にも出た事あるから、知ってる奴は知ってると思うけど。知らない奴のために、自己紹介よろ〜」

ニ)「ヨシノです」

至)「ヨシノとたるちで、やっていきたいと思いまーす」

初めて出てくれた日、何故ヨシノなのか聞いてみた。
ニナは遠くを見て"ソメイヨシノ"とだけ呟いた。

意味は理解できなかったが。
桜の名前なのは分かった。

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なーこ(プロフ) - まるさん» 見落としてました…。すみません、気をつけます (2018年10月9日 12時) (レス) id: bce89ec21f (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年10月9日 11時) (レス) id: 07f23207a7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なーこ | 作成日時:2018年10月9日 9時

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