溺れた魚

7話 ページ8

「山姥切国広だ。......何だその目は。写しだというのが気になると？」

あ)「これ、厚くんの兄弟？」

厚)「大将、一文字も合ってねーから」

あ)「よろしく、国広くん」

山)「…ふんっ」

とっつきにくいなー。
それが、国広くんの第1位印象。



さっき拾った刀は、家に持ち帰った。
手を洗ったり、服に着替えたり。

ちょっとまったりしてから、刀を取り出した。

あ)「…さて」

厚)「おっ。ようやくお出ましだな！」

あ)「ってか、顕現？だっけ？触ればいいの？」

厚)「…まぁ？」

厚くんもよく分かってないみたい。
触るだけって…

あ)「…さっきから、触ってるよね？」

厚)「そーだよなぁ…」

2人して首をかしげる。
何なんだ。

厚)「大将がなんかぶわぁって」

あ)「ぶわぁって何よ、ぶわぁって」

抽象的で、厚くん自身も言葉につまる。

厚)「何か、力込めて触ってみたらどうだ？こう…ぶわぁって」

さっきからぶわぁっとしか言ってない。
私の指から何か出せってか。

あ)「やってみる」

厚くんが言った通りをイメージしてみる。
手先から何かを出すイメージ。

そう言えば、狐が霊力とかなんとか言ってたよね。
頭の中で、赤の王の炎と青の王の結晶がチラついた。

手の先が温かくなり、それが刀に伝った。
そんなような気がした。

結果的には、それでよかったらしい。
ピンクの花びらが、刀を包み込んだのだった。



あ)「でさ、国広くん。どう思う？」

山)「俺に気安く話しかけるな」

あ)「…厚くん、今言った事、国広くんに伝えて？」

厚)「おう、任せろ！」

山)「この距離だろ！？聞こえてる！俺に構うな！」

今日の夕飯を聞いただけなのに。
この仕打ち。

ハリネズミみたいに、尖ってる。

あ)「その布何？とったら？」

山)「…っやめろ！」

さっきから、顔がよく見えない。
布をすっぽり被り、前髪は長く、目がチラリとしか見えない。

正直、切りたい。
あの前髪。

私は厚くんみたいに、髪はすっきりしててほしい。
国広くんのような毛は、もうバッサリいきたい。

山)「そう言う自分だって、目に髪がかかってるじゃないか」

あ)「私は前髪作らない派なの。オシャレよ、オシャレ」

山)「意味が分からない言葉を使うな！」

あ)「逆ギレ！？」

厚くんにも聞いたが、"オシャレ"の意味が分からないと言われた。
そう言えば、ジャムもわかってなかった

もしかして、横文字苦手？

山)「おい、ここが鳴るんだが。何だ？」

あ)「そのくだり、もうやったから」

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