溺れた魚

18話 ページ19

降参。
これはもう同行するしかないね。

そう言う意味で、両手をあげた。
すぐに帰れるだろうか。

明石さんは、私の意図がわかったのか、何も言ってこない。

淡)「貴方…なんて呼べばいいかしら？」

あ)「審神者とでも、呼んでください」

淡)「可笑しな事を言うのね」

淡島さんは、私の横に立って歩く。
その後ろを、明石さんと、部下が並んでいる。

淡)「この前のアレ、何か聞いてもいいのかしら？」

あ)「…言えるのは、奴は私達の敵だって事です」

淡)「…曖昧ね。それから、サニワさんは…第七王権者、無色の王なの？」

あ)「違います。ただの小市民ですよ」

小市民、ね、と繰り返すと、それ以上は話しかけてこなかった。
あぁ、と気の抜けた声がして、振り向く。

明)「そうそう、蛍丸と愛染国俊を見かけたら、よろしゅうなぁ。自分、二人の保護者なんですわ」

あ)「厚と国広しかいないよ」

明)「へぇ？知りまへんなぁ」

私も、ほたるまる？とかあいぜんくにとしとか、知らないから。
何故か、淡島さんは、明石さんを見て微妙な顔をしていた




淡)「なんだ、お前達は」

「ん〜、悪いんだけど、その子、渡してくれないかなぁって」

淡)「何のためだ？…この人は、我々セプター4が保護する事になった」

「世理ちゃん、自分らもその子、必要なんですわ」

赤の王のクランズマンと、草薙出雲が立ちはだかる。
後ろで明石さんが、修羅場ですやん、なんて言っている。

どうして、そこまでして私を捕まえてたいんだろう。
赤の王は、分かる。

…まぁ、見られてたから、好奇心でしょう。
だけど青の王は？

こちらも好奇心？
あの時の敵について知りたいだけ？

ぶぶー。ぶぶー。
私の端末が鳴る。

『審神者様、お知らせでございます』

端末から、狐が浮かび上がった。
ホログラム？

淡島さんを見ても、特に変化はない。
赤と青で睨み合うだけだ。

…見えてない？

狐)『結界の作り方をご説明します』

明)「…へぇ、ようできてはりますなぁ」

あ)「見える？」

明)「ええ、まぁ」

淡)「？何を見ている」

あ)「え？あー…ちょっと、連絡したい相手がいまして。ほら！友達、置いてきたんで！」

淡)「それは…悪いことをしたわね」

上手く誤魔化せれた。
バレないよう、息を吐く。

狐)『今から紙を添付いたします。使用なさる場合、紙に霊力をこめて下さい』

狐は、紙に息を吹きかけた。
勿論宙に舞う。

それからパンっと手を鳴らせば。
紙が、静止した。

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